このレビューはネタバレを含みます
これはリュック・ベッソン作品としては久々の快作ではないでしょうか。最初から最後まで息つく暇もなく、すっかり引き込まれました。
1990年ごろのパリを舞台に、ロシアのKGBにスカウトされた女性スパイとCIAの攻防を描いた物語。「アトミック・ブロンド」と「レッド・スパロー」を足して、両方のいいところをうまく整えたって感じの作品でした。
アクションもそれなりにすごいけど、とにかく脚本が良いです。話は複雑なのにわかりやすい。スパイ映画らしい策謀に次ぐ策謀も、テンポが良くて目が離せません。現在と過去を行き来する構成のおかげで、細かい伏線がいちいち回収されて気持ちがいいです。途中の恋愛模様は余計だと思ってたら、それも最後に回収されました。あまり先入観なしに観た方が楽しめるネタバレ禁止な作品かも知れません。
主役の女性はそれほど美人じゃないけど、オーラは感じました(個人的にはレズ恋人の短髪女性の方が好み出しよほど華があると思ったけど)。KGBのスパイなのに表の顔はパリで活躍するモデルというのも、ベタだけどオシャレで、複雑な話の絵面をとてもスタイリッシュにしてました。
そして素晴らしかったのはヘレン・ミレンの怪演。この人やっぱりすごいわ。
ちょっと疑問なのは、舞台は90年ごろなのに携帯が小さかったり、記録メディアがUSBっぽかったところかな。わざとやってるのかも知れないけど、それなら舞台をこの時代にしなくてもよかった気が。ソ連崩壊前後って設定はあんまり物語に関係なかったし。
あと、モスクワのシーンは途中までロシア語だったのに、KGB内の会話がずっと英語だったのは残念。まあ主な出演者が英国の人たちたったから仕方ないのかも知れないけれど。
とはいえ久々に心からハラハラ楽しめるスパイ映画でした。点数は久々に楽しめたアクション映画ってことで甘めかも。