冒頭、マルエツとかライフあたりで購入した服を着た人達が
墓参りをしているシーンから始まります。
そこから一気に1944年6月6日、
オマハ・ビーチに向かう米軍上陸用舟艇内に場面が移り、
息をつく間もない怒濤の上陸作戦の中に投げ込まれます。
海岸に設置されたトーチカから発射される銃弾のシャワーの中、
後続部隊に場所を空けるためにも、
累々と積み重なる屍を超えてとにかく前に進むしかないという
地獄絵図を体感するだけでも相当な価値があるというものです。
話の中身は、
兄弟全員が戦死したと母親に報告するのは忍びないとする軍上層部の命令により、
4人兄弟の中で、まだ生きている可能性のある1人を、
混乱する戦線の中から探し出して、
無事帰還させる任務を与えられた兵士達の物語です。
この部分はフィクションだそうで、実際あまりリアリティはないのですが、
現場を知らない上官による、美談づくりのための不合理な司令などは、
いかにもありそうなことで、そのへん皮肉が効いています。
終盤、再び現代の墓地のシーンに戻るのですが、
月並みな構成ではありますが、
ここで時の流れが凝縮されて、ドンとぶつかって来て、
グッときます。
冒頭と末尾の墓地シーンでは、風にはためく星条旗が大写しになるのですが、
これは、本作が星条旗の下に死んでいった兵士達への弔いであること、
そして、あくまでアメリカ合衆国からみた戦争の一端であることを
潔く示しているものと私はとらえました。
ことさらUSA!アゲとかUSA!流ごり押しとかではないと思います。