MALPASO

カブールのツバメのMALPASOのレビュー・感想・評価

カブールのツバメ(2019年製作の映画)
4.1
映画『カブールのツバメたち』
アフガニスタンはどうなっていくのか?

フランス・ルクセンブルク・スイス合作のアニメーション。84分なのであっという間に観終わる。

男性至上主義の社会を築こうとするタリバン。国の情勢が変わることはあるが、世界がなぜ今のアフガニスタンにこれほどまでに目を向けるのか?今のフェミニズムを築こうとする世界とは完全に真逆な考え方、またそれを実行するためには暴力的で残虐な手段を選ばない蛮行に及ぶからだけど。

この作品は水彩画のような素敵で淡い感じに描かれる。タリバン政権下のカブールが舞台。観ればカブールの現状を想像できる。

舞台は1998年夏、タリバン勢力の支配下のカブール。この後、9.11が起きて、アメリカが介入していく。

女性の収容される牢の監視をするアティクは病の妻を抱えている。もう一人は、元大学教授のモフセン。彼には恋人がいる。この2組を中心に物語が進むが、彼らが意外な方向交差していく。物語が素晴らしい。ぜひ実写でも観たい。

モフセンは躊躇しながらも女性に石を投げる。同意するか黙認するしか人々に道はなく、心を失っていくものもいる。

監督:エレア・ゴべ・メヴェレック
初の長編だけど素晴らしい傑作。

網目越しのブルカ目線が何度か登場するが、視野に狭いこと。これは尚更不安になる。銃と鞭を手に人々を監視するタリバンの様子は今回のニュースの映像でも目にした光景。

最近身内の死で、宗教というものは人を助けるが、一方で無駄で現代似合わない考え方だと思い知った。私は元々宗教や神など信じない方なので尚更かもしれないけど。子供に「人が死ぬってどういうこと?」と聞かれたら何て答えるか?

カブール支配下のアフガニスタンの女の子が主人公のアニメ『ブレッドウィナー』も合わせて観るとなお状況が見えてくる。
MALPASO

MALPASO