カブールのツバメの作品情報・感想・評価

「カブールのツバメ」に投稿された感想・評価

アフガンをタリバンが支配し、大学や映画館もなく貧しく女性を弾圧する社会で、教師をしてた夫、元兵士で看守の夫、絵すら隠れて書く妻、癌の奥さんの物語。
そんな状況に順応する者、石を投げてしまう側の話と辛いことが多いのですが、それでも小さい光を写す映画でした。
#TAAF2020
明石

明石の感想・評価

4.9
「ソ連との戦争の頃はよかった。誰が敵だか分かってたからな」これは、、すごい映画を見てしまった。国の催し物のために処刑されることになった女囚人と、彼女を助け出そうとする看守。まさかの展開。まさかの結末。ここ最近見た映画でベストに近い一作でした。

タリバン政権下のアフガニスタンが舞台の半実話。どこかデジャブな話だと思ったら、クメールルージュに支配されたカンボジアによく似た境遇。急進的な主張を持つ一部の人間が(銃を携えて)国を統治することが、いかに国民を苦しめるか、を示す良い例ですね。女性はつねにブルカを着用、白い靴は禁止、音楽も映画も本も禁止、笑うのも禁止。阿呆すぎて笑っちゃう。

「この死装束を脱ぎたい!」という主人公の台詞が心に焼きついて離れない。ブルカに男にタリバンにと、あらゆるものに抑圧される劇中の(≒現実のアフガンの)女性たちがとてもとても不憫。タリバン政権の一番の被害者は女性、というのは忘れてはならないひとつの事実だと思う。
きのこ

きのこの感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

タリバン政権下の差別に苦しむ女性、そして同時に社会が求める強い男権的な風潮のせいで"大切な女性のことと非人間的に扱わなければならない"男性の苦しみも描かれた作品だった。印象的に感じたのは"大切な女性の感情に苦しむ"男性も、そのほかの女性への差別にはひどく無自覚な様子が描かれていたことで。
大切な特定の誰かを守りたいという思いだけでは不十分で、その大切な人の延長線上にいる、同じような問題に苦しむ人々もまとめて守ろうという動きがなければ不十分なのだと強く感じた。
くりふ

くりふの感想・評価

4.5
【ツバメも鳴かずば】

たまたま場所・時間が合ったので劇場行ったら、1週間限定の特別上映だった。

過去、映画祭での上映はあったものの、今回はアフガン情勢へのカウンターとするため、難しい条件をかいくぐっての上映らしい。ル・シネマにかかるのって、けっこう大ごとじゃなかろうか?

タリバン支配下のカブール。1998年夏、愛ゆえの、ある残酷な出来事。

同題材だと『ブレッドウィナー(生きのびるために)』がありますが、あちらは児童書原作の、子供のサバイバル劇でした。こちらはアルジェリア出身でフランス在住、ヤスミナ・カドラの小説を原作とした、二組の夫婦に始まるサバイバル…を目指して、愛を貫く物語。

フランス映画で、台詞がフランス語で、はじめ萎えたのですが…男の、女の、熾烈な運命にやがて呑まれてしまい、気にならなくなった。

差別とたたかう女性…というより、男の変化を描いているのが特徴かと。その諧調はちょっと、ザックリしていましたが。また、変わると言っても、一番変化の必要なタリバンのリーダー格があれではね…。

フィクションの限界。やっぱり、現実は現実で変えるってことだよね。

ブルカを持たず、隠れてでも自由たらんとするズナイラが、フランス映画ならすぐ居そうな、魅力的なヒロインでしたが、ムスリムでもこういう女性、居るのだろうか?ちょっと無自覚すぎる気もしたけれど。

水彩画タッチはよく見るものだし、アニメらしさ、で言えばこの静的進行は…特に前半、けっこう退屈。が、あの展開がやってきて…

あの、ひとこと。どうしても、言い残したかったのでしょうねえ…。

変えられない地獄。しかし、そこで最後まで、人間たらんとするなら?

良くも悪くも、外国人視点による完成度だとは思うのですが、ちょっと、こうやられてしまうと、言葉が出ません。

他が荒くとも、ある一点から、傑作だと思いました。

<2021.10.11記>
Rena

Renaの感想・評価

3.3
タリバン支配下では、外で笑うことも禁止だったのですね⋯

俳優陣で知っていたのはスワン・アルローとヒアム・アッバスのみでしたが

「なんか見たことある表情だなぁ⋯」

と思いながら観ていたら、登場人物達は、声を演じた俳優に寄せて描かれていたのですね。

【 全ての男性は一緒なのだ 】と
夫に当て付けのように怒りをぶつけるのは間違っているのでは!? と思い、観賞後もしばらく考えていたのですが、それは私が縛られるものがなく自由に生活出来ているからであり、その日常を当然のように感じている自分が恥ずかしく、空気がよめない人間のようで、まるで横柄な人間のようで、異なる境遇の下で生活している人達を理解出来ない人間のようで、そんな自分が嫌になりました。

私の中ではそれほど起伏なく静かに見つめていたのですが、最後、老人の言葉に胸を打たれ、その想いの深さと重みに押されるように、すっと一筋、涙が流れました。

今思えば、無惨で残酷で えげつない表現もたくさんありましたが、優しくやわらかいタッチのアニメーションで描かれていたため、そのようなシーンを観ても 嫌な気分にはなりましたが、それほど疲弊せずにすみました。
文章では際限なく想像が膨らみ しんどくなるかもしれませんが、原作とは設定など異なる部分があるとのこと。
いつか チャレンジしたいと思います。
しゆ

しゆの感想・評価

4.0
98年タリバン支配下のアフガニスタンで生きようとする、2組のカップルの物語。

水彩調の終始抑制されたタッチの美術・アニメーションが非常にうつくしく、同時に暴力と死がすぐそばにある厳しい日常も生々しく描かれる。

『トゥルーノース』でも、収容された人々を待ち受けるあまりに過酷な現実を写実的に描くのではなく、デフォルメされたキャラクターで描くからこそ、鑑賞者が自分のこととして引き受けられる普遍性を生む効果が得られていたと思う。
本作『カブールのツバメ』での表現もそれに通じるものを感じた。

終盤ズナイラに待ち受ける運命とその行く末には、「アフガニスタンの女性たちにツバメのように自由を手にしてほしい」という思いが感じられるも、ズナイラに手を差し伸べたあの人もまた、自身で自由を手にする権利はあったのでは……。
若くて健康でなくても、すべての人の命や自由の価値は同じなのでは?と思わないでもなかったけれど、極度の抑圧を受けた人々が前途ある若者に未来を託したくなる気もちは分かる。

19年の作品だけれど、21年のアフガンの状況によって、再びこの作品が切実な価値をもってしまったという事実が重い。
三角

三角の感想・評価

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現代のカブールの話なのかと思ったら本作の舞台は98年らしい。
カブールってそのようにタリバンとかいうカルトに制圧されたり解放されたりを繰り返してんのかと実感した。
カルトと切って捨てるのはイスラム教への理解を放棄しすぎているかも知れないが、タリバンの彼らは科学よりも神を信じているし、理性的社会は他者への理解や信頼ではなく暴力で果たされると思っている。
タリバンの仕打ちは映画とかニュースで見るたび言葉失うのだが、欧州女性監督たちが彼女たちを代筆するように誠実な作品を作っていて胸が熱くなります。このようにありたい。
ジュゼップと合わせて人間が困難な現実に絵を描く力で対抗していく姿がアニメという媒体で見れたのがよかったです。
ものを創る力ってこういう時こそ光るんだよなという当たり前のことを思い出した
kazu1961

kazu1961の感想・評価

4.3
🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2022-092
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-※※※

🖋美しい水彩画のようなタッチのアニメーションと正反対のタリバン支配下で生きていくことの苦悩、絶望。。。そんな中でもそれに対峙していく人々の良心と勇気と愛に涙が止まらないそんな作品です。

🖋タリバン支配下では、全身をすっぽり覆うチャドリを着用しなければ、女性の外出は禁じられていました。それは悲劇と自由の象徴にも。。。そんなアフガン女性達の希望を映像詩で綴ったほんとに評価されるべきアニメーション作品、チャドリを通して見える細かく刻まれた世界が、女性の自由を奪っていることの象徴に。。。そしてまた自由を求める男性の苦悩も見事に描いています。

🖋本作、同名の小説の映画化ですが、監督・脚本は、2人のフランス人女性です。なので、キャラクターもフランス語で話し、アニメーションもまるで水彩画のよう。とにかくオシャレでセンスが良い世界一観の中で描かれる悲劇と自由の物語は却って心に刺さります。

🖋登場人物全ての生き様が心を揺さぶってきます。若く芸術の才能溢れる女性ズナイラ、その夫で次世代の子供たちを育てたいモーセン、女性刑務所で看守を務めるアティーク。そしてその妻、末期癌のサラト、彼女のラストにとった行為は衝撃的でした(涙)

😭Story:(参考:公式サイト)
1998年、タリバン支配下にあるアフガニスタンの首都カブール。厳格なイスラム法が人々の生活に浸透し、巷では理不尽な私的制裁も多く見られるようになっていた。自由を好むズナイラは、自宅で密かに音楽を聴きながら壁に絵を描き、夫モフセンの帰りを待つ日々を送っていた。一方、拘置所の看守アティクは、病気がちな妻ムサラトを看病しながら、長く続く戦争と貧しさに耐え忍んでいた。ある日、ズナイラが慣れないチャドリ(顔も全身も覆う衣装)を纏って外出したことで、二組の夫婦の運命が狂いだす――。

🔸Database🔸
・邦題 :『カブールのツバメ』
・原題 :『Les hirondelles de Kaboul』
・製作国 : フランス・ルクセンブルク・スイス
・初公開 : 2019
・日本公開 : 2021/10/08
・上映時間 : 82分
・受賞 : ※※※
・監督 : ザブー・ブライトマン、エレア・ゴベ=メヴェレック
・脚本 : ザブー・ブライトマン
・原作 : ヤスミナ・カドラ「カブールの燕たち」
・撮影 :
・音楽 :
・出演 : ジタ・アンロ、スワン・アルロー、シモン・アブカリアン、ヒアム・アッバス

🔸Overview (参考:映画. com)🔸
タリバン支配下にある90年代アフガニスタンの首都カブールを舞台に、悲惨な現実の中でも希望を持って生きていた夫婦を襲う悲劇と自由を求める女性たちの姿を、水彩画のような美しい映像でつづった長編アニメーション。1998年、タリバンが支配するアフガニスタンの首都カブール。人々は厳格なイスラム法の下で暮らし、世間では理不尽な私的制裁も多く見られるようになっていた。女性は全身を覆うチャドリ(ブルカ)を着用しなければ外出も許されず、自由を好むズナイラは、自宅で密かに音楽を聴きながら壁に絵を描き、夫モフセンの帰りを待つ日々を送っていた。一方、拘置所の看守アティクは、病気がちな妻ムサラトを看病しながら、長く続く戦争と貧しさに耐え忍んでいる。そんなある日、ズナイラが慣れないチャドリをまとって外出したことで、2組の夫婦の運命が狂い始めて……。2019年・第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門出品。

このレビューはネタバレを含みます

ISに占領されたカブールで暮らす2組の夫婦の悲しい話、解説をあちこち読むと肝のところで解釈が違うところがあるのだが、自分はおっさんは「未来を託した」のではなく「単に一目惚れ」したのだと解釈している、なのでラストの奥さんの行動は病気とはいえかなり悲しかった
A

Aの感想・評価

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絵のタッチは美しいのに語られることはあまりにも血生臭く残酷で、見応えはあるけど観ていて胸が痛かった。「逃げるのではなく救いたい」と老人が若い世代に馳せる思いがずしんと響く。遠く隔たった場所にいる人への想像力と他人事と思わない強さを。
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