えりす

カブールのツバメのえりすのネタバレレビュー・内容・結末

カブールのツバメ(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

第二外国語をフランス語で選択していて、フランス語映画のクリップしていたもののうちの一つ。
中々に重たい内容の映画だった。また、宗教観という点では馴染みのない内容だった。例えば、2人が外で少しいちゃついてしまった時、軽い罰を受けたわけだが、それをきっかけに「彼氏を含む」男全員が憎いわ!となってしまう彼女の心境には少し理解するのに時間がかかってしまった。後に、女子・女性が卑下される風潮の社会で女性だけが白い靴、笑うこと、ヒジャブなしでの外出など制限されていることが多かったということを鑑みて、彼女の気持ちを理解することができたと思う。彼氏は外出するのになんの苦労もしていないのだから。男が外に出ようと誘うのは簡単だ。
常に彩度の低い色調、重たい雰囲気で、ハッピーエンドは全く期待できなかったが、やはりキツかった。誰も助からないのか…絶望感に襲われる。劇中では、こんな状況でも愛し合う人は支え合い、夢(この場合は教育を子供に与えるということ)を持って生きていくことができるのではないかと少しは考えさせてくれる余地のある場面があったが、それさえも束の間で、打ち砕かれてしまった。
ただ、タリバン政権下で死んでしまった、殺されてしまった人々にしか焦点が当たらないようであるが、1人彼女は生き残った。そして将来を担う子供たちに闇で教育を与えようという決心をしている。そこで映画が終わったのは何か余韻または考えさせる余地を残すようで、良かったと思う。

なぜ「ツバメ」であったのか。劇中には何度も「国を出る」という言葉が出てきた。ありきたりな解釈かもしれないが、領域に囚われることなく住みやすい土地を探して飛び回るのが「ツバメ」だと言うことに、何か意味があったのではないか。

また、あまり脈絡はないが、fatigué (疲れた)という単語が非常によく出てきたような気がする。
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