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カセットテープ・ダイアリーズのsnowwhiteのレビュー・感想・評価

4.3
パキスタン人の移民である父母を持つイギリス人の高校生が主人公。

東京国際映画祭で面白かった本作がアマプラでもうすぐ配信終了になってたので慌てて視聴。

想像通り良かったー!出来るなら映画館で観たかったな。


(ネタバレあります。)
あらすじ+感想

パキスタンからイギリスに移民としてやって来た父。イギリスに来てから様々な差別を受けてきたので息子がイギリス人と関わるのを凄く嫌う。また、伝統的なパキスタンの考え方で家族は主の決めた通りに生きるものという考えだ。結婚すら全部父が決める。それがパキスタンの伝統だ。

そんな家に生まれても息子には白人の幼馴染みがいるし、彼は自分がパキスタン人ではなく僕はイギリス人だと言う。

ある日大学で知り合った人からブルース・スプリングスティーンのカセットテープを貰う。聴いてみると歌詞が自分の今の気持ちにぴったり!まるで自分の事を歌ってるかのよう。すっかりのめり込んでしまい、カセットテープをくれた人と友達になる。この友が凄くいい!よくぞめぐり合えたものだ!

主人公は詩や日記を書くのが大好きで将来は作家になりたいと思っている。

自分の夢に向けて彼は凄くアクティブだ。教師に自分の書いたものを見せてアドバイスを貰おうとしたり、出版社に掛け合いにいったり。

そんな彼に才能を見出だした教師は色々とアドバイスをするようになる。

そしてそれを見ていた白人の少女も彼に興味を示す。やがて2人は恋人になるが、この彼女が実にいい。差別とは無縁の人物。とても気があった2人はいつも一緒に過ごす。

主人公にブルース・スプリングスティーンを教えた友達も実にいい!一緒になって学校でブルース・スプリングスティーンを広めようと放送室ジャックを敢行する。校長に呼ばれるが校長も粋な人物だ。

一方父や彼女の両親は固定観念から抜け出せない。主人公がやることなすこと父は気に入らない。

リストラ後母に仕事をさせて自分は働かない父にとうとう主人公は切れる。自分もアルバイトをして生活を支えているし、お母さんは寝る暇もなく働いてるのに父さんは何をしているんだ!自分はアメリカに勉強に行くと宣言する。父に対する決別宣言だ。

一方主人公は教師や周りの色んな人に支えられて遂には成績優秀者として表彰される。

表彰式がある事をこっそり両親に伝えに言ったのは白人の彼女。この彼女実にいい仕事します。

表彰式の前日、主人公は町で職安から出てきた父を見かける。父は遊んでいた訳ではなく仕事を探してはいたが中々見つけられずにいただけであったことを知る。

両親が表彰式に来ていることに気づいた主人公は予定していたスピーチの内容を変える。自分を支えてくれた教師、友達、恋人、そして何より両親や家族に対する感謝だった。父が一生懸命働いてくれた事、それで今の自分があるのだという事、主人公の言葉は心の底から出た言葉だ。

パキスタン人であることに拘って主人公を叱ってばかりいた父も主人公の作家になりたいという夢を応援するようになる。

主人公がアメリカに旅立つ時、送っていくため父は一緒に車に乗る。主人公が父に気を遣って父の好みの曲をかけようとするが父が制止し代わりにかけたのはブルース・スプリングスティーン。父は「彼はパキスタン人やん!!」

爽やかな映画だった。主人公が書いた自叙伝が原作である。と言うことは彼は夢を叶えて作家になったのだろう。

エンドロールで実際の人達が出てくる。何十年も経っても友達との付き合いは今も続いていた。両親や兄弟も元気だったのがうれしかった。
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