KaZui

カセットテープ・ダイアリーズのKaZuiのレビュー・感想・評価

4.0
💬実話に基づいた物語。パキスタンからイギリスに移り住んだカーン一家の長男・ジャベド(演:ヴィヴェイク・カルラ)は、保守的でパキスタンの伝統や生き方を重視する父のマリク(演:クルヴィンダー・ジル)や、周りからの人種差別などから日々の暮らしに閉塞感を抱いていた。ある日、ジャベドは、ブルース・スプリングスティーンの楽曲に出会う。その音楽は、ジャベドに大きな衝撃を与えることとなり、ジャベドが自らの態度や生活を変えていくきっかけとなる。私自身がブルース・スプリングスティーンのことを知らなかったこともあり、主人公と同じ気持ちで新たに楽曲に出会う体験が出来た。また、父と子の関係、人種差別の2つが大きなテーマとなっている。特に、前者は、「自分が思う子の幸せが本当に子の幸せなのか?」という父親目線の疑問と、「何も理解してくれない父は本当に子のことを思っていないのか?」という子ども目線の疑問が現れる。父親の苦悩も描かれており、単に父親を悪人として描くだけの作品ではなかったのが良かった。後者に関しても、かなりリアルで酷い内容の差別を受ける描写がそこかしこにあり、人種差別について学ぶことができる。また、ジャベドがブルース・スプリングスティーンに出会ったことをきっかけに動き出す隣家の幼なじみ・マット(演:ディーン=チャールズ・チャップマン)との友情関係の変化や、クラスメイトのイライザ(演:ネル・ウィリアムズ)との恋愛などもしっかりしていて、青春映画としても傑作。

初鑑賞:2020年7月7日
鑑賞方法:映画館
(ユナイテッド・シネマ札幌)
2020年170本目。
7月8本目。

🗣7月に入ったばかりですが、今年の下半期ベストに入りそうな作品です。私は、歌を聴くとき、歌詞にかなり注目するタイプです。そうしたなかで、まるで私個人のことを歌っているのではないか?と思わされるアーティストに出会うと好きになるし、人生の一部すら変えられてしまいますよね。
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