KaZui

ノーカントリーのKaZuiのネタバレレビュー・内容・結末

ノーカントリー(2007年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

💬第80回アカデミー賞において、作品賞、脚色賞、監督賞、及び、助演男優賞(ハビエル・バルデム)の4部門受賞した作品。血と暴力、この世の不条理を体現したかのような殺し屋のアントン・シガー(演:ハビエル・バルデム)が恐ろしく、緊迫感を楽しめる作品だった。シガーの武器が屠畜用の銃というのも珍しくて良かった。前述した通り、シガーは血と暴力とこの世の不条理を体現したかのような存在なのだが、いや、少なくとも観客にそう思い込ませてしまう凄みのあるキャラクターなのだが、面白いのは終盤の展開。映画の中で、シガーはコイントスの結果で相手の生死を決めることがある。コイントスの結果には忠実であり、シガーに殺されない者もいる。これもまた運命の強制力と恐ろしさを感じさせる。シガーに追われていたルウェリン・モス(演:ジョシュ・ブローリン)の妻であるカーラ・ジーン・モス(演:ケリー・マクドナルド)もまた、シガーにコイントスを仕掛けられる。しかし、カーラはシガーに言い放つ。決めるのはコインではなく、シガー自身であると。ここでシガーは一気に人間へと引き戻される。もちろんこれはシガーというキャラクターの心情や主義が変化したという意味ではない。シガーは主義に従ってカーラを殺す。しかしながら観客としての私たちは、シガーが不条理の擬人化ではないことに気付かされるのだ。そしてその直後、シガーは運転中に別の車に突っ込まれて重傷を負う。彼もまた、世界の不条理に晒される1人に過ぎないのである。さてさて、この物語の主人公は、エド・トム・ベル保安官(演:トミー・リー・ジョーンズ)とされるが、彼はシガーと直接対決をすることもないままに引退を決意し、映画は終わる。映画の原題は、『No Country for Old Men』。“血と暴力の国”において、年老いた保安官はその物語の中心にいることすらかなわず、そこを後にするのだ。

初鑑賞:2024年4月28日
鑑賞方法:動画配信サービス(U-NEXT)
2024年114本目。
4月24本目。

🗣ウディ・ハレルソンが凄腕の賞金稼ぎとして出てきたときはテンション上がったね。意外と呆気なかったけど。ハビエル・バルデムが怖すぎる。
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