Hoshiduru

WinnyのHoshiduruのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
3.4
浅学ながらWinnyを知らず、と思ったけれど、もしこの一連のことがなければ、だいぶ違ったのだろうなという想像は易い。

この逮捕が、裁判の行方が、何を意味するのかをきちんと理解して立ち上がり戦うことを決意した人たちがいて良かったと思う。起きた事態に対して製作者がどこまで、どのように責任を取るべきか、という問題は確かにあると思う一方で、その議論を最初から絶やしてはいけないとも思うし、もし彼らが悪用を思いつかなかったなら、その善性を罪だと呼ぶことになると思うから。


全体的には淡々としつつも、法廷ものの面白さや、ブロマンス的な絆も織り込んでいて、エンタメ的にもしっかりしてたんだな、と今気がついた。金子自身すら観客からズレた位置に置かれていて、つかみどころの無い雰囲気を漂わせてるのもよかった。

Winnyの存在価値を示すひとつの出来事が、金子自身は、それをも許したくはないだろう、というのがとても難しかった。Winnyが犯罪の役に立ったとしても、それが悪ではないことには変わりはないように、犯罪が善行の役に立ったとしても、それが悪であることには変わりがないはずだ。そこの前提を見誤ってしまうと、それはそれで非常に危険だとも思う。

インターネット上で悪用されることが始まりだからこそ、「古き良きネット文化」を感じる描写がよかった。本名が報じられてもなお彼は「47氏」なんだなあ、というそこが結構個人的にグッときた。
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