超正統派のダイレクトシネマ。それでいてはっきりとギョーム・ブラックの一貫したフィルモグラフィの中にあるバカンス映画としてのドキュメンタリーだった。
優れているのはこの作品の強みとなるこの避暑地のレジャー施設の美しく景観を活かしながら組み立て方。朝昼夜という時間や天候などあらゆるロケーションを組み込み、その中に様々な人たちのエピソードを組み込んでいく。
景観を優先するがゆえのロングショットだが、それを成立させているのは録音の仕方だろう。多分あの被写体が遠くを歩いている自然なロングショットも事前にピンマイク等を渡すことで成立している。そこを感じさせないのが上手いし、とにかく"場所"に溶け込む人々を撮るというスタンスが本作の1つの成功である。
いわゆる構成の要素は薄く、最後は「弟に捧ぐ」で落とすことで強引にラストショットに意味を持たせているように思える。
ギョームらしい子供と大人の曖昧な境界に佇む視座に心地良さを感じる作品だった。