ユーライ

糸のユーライのレビュー・感想・評価

(2020年製作の映画)
4.5
まず導入から感動させられる。自転車が、車輪が回るのは運命が駆動することの象徴なわけだ。過去に飛んで勢い余って自転車が宙に浮くとそこが「運命的」な場所である。映像で語る。自転車が宙に浮くのが映画。縦の糸と横の糸を実際に画面、人物の動線で示して見せる。橋のくだりが一番分かり易いと思うが、ラストの逢瀬は何かパズルゲームっぽい、なかなか縦と横で会えない。ラストショットの歯切れの良さ、ここしかない、まるで人生ゲームのようだが写真に映らない人達もいてその零れ落ちたと言っていい人達への目配せがちゃんとある、後日談的に映すのではない。平成史をディケイド的に語ってみせる、というのは恐らくたぶんいつもやっている事なんだろうが、二人にとっては多分どうでもいいんだよね、というか周りで騒いでるだけだし、街頭インタビューがあんなだしさ。
『楽園』と対になる、あっちが糸が解れる運命のダークサイドならこっちはライトサイドだ、そこら辺併せて観ると面白いかも知れない。上遠野浩平的なんだよな、台詞もそうだが行動が、思いが知らず誰かに伝搬するっていうのはジョジョ的であるとも言えるけれどもやっぱりオキシジェンだろう、糸だよ糸!
ユーライ

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