なお

音楽のなおのレビュー・感想・評価

音楽(2019年製作の映画)
3.8
"バンドやろうぜ"

ウォッチリストでしばらく塩漬けになっていて、もうすぐアマプラでの配信が終了するというので急いで鑑賞。

大橋裕之氏の漫画作品が原作。
とある高校の不良生徒・研二は他校の生徒からも恐れられるケンカの腕前を持つが、とある事件をきっかけに音楽の道に目覚める。

同じ不良仲間の太田と朝倉をバンドメンバーに巻き込み、奇妙な青春(?)物語が幕を開ける…

う~~~ん、実に様々な表情を持った映像作品。
(読んだことないけど)増田こうすけ氏の漫画作品「ギャグマンガ日和」のような半日常的で半ナンセンスな独特の世界観と雰囲気を纏い、見る者の心を惹きつける。

劇中で研二たちが結成するバンド<古武術>の音楽活動を描いた青春ギャグドラマ的趣もあるし、時に見る者を「ハッ」とさせるような迫力とスゴ味のある作画・描写で研二たちの姿を描く写実的な人間ドラマのようでもある。

これは音楽に、というか本作に限った話じゃないけど、ケンカに明け暮れる不良が、その有り余るパワーの方向性を「夢中になれる別の何か」に変換していく姿を追う作品は個人的に刺さるものがある。

研二は普段ボーッとしていて何を考えているか分からないし、自ら周りを巻き込んで始めた<古武術>のバンド活動ですら「飽きた」の一言でやめてしまう。
だけれども最後には、ライバル校の不良たちをかわしリコーダー1本で観客を喚起の渦に巻き込んでみせた。

研二の誘いでバンドを始めた太田と朝倉も「オレ、バンドやって良かったよ」なんてセリフが出るくらいに音楽にのめり込んだ。

そして「音楽」という共通の志がなければ交わることはなかっただろう<古美術>のメンバーとの心の触れ合い。

情熱を注げる何かとの出会いと葛藤、別れ、そして大逆転。
青春の何たるか、を凝縮した1時間…というと少し大げさだろうか。

☑️まとめ
良くも悪くも独特な世界観のため、見る人は選びそう。
が、それでも1時間強という作品時間なので、ふだんあまりこういったジャンルを見ない方にもオススメしたい作品。

🎬2022年鑑賞数:111(49)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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