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猿楽町で会いましょうのTERUTERUのレビュー・感想・評価

猿楽町で会いましょう(2019年製作の映画)
4.5

[ 猿楽町で会いましょう ]

出会った当初は何も知らない、
これから始まる恋愛へのビジョン。
そばにいて、幸せにする、ずっとこのままでいて。
君のことを知っていくから。


あー…頼むから嘘偽りもない君の本音を聞かせて。


 気になっていた作品観て参りました、最近邦画が熱いです。素晴らしい映画に出会った気分です…✨
 同時期に公開された『花束みたいな恋をした』、『街の上で』のような恋愛をテーマにした物語。エモいとしか言えん最高のシーンが今回にもあります。無邪気で街頭煌めく夜の街を走る若いカップルがこんなにも美しく見える青春ラブストーリだと思っていた。そう【chapter1】が終わるまでは。
 まさかの展開から始まる【chapter2】、いや、待てよ、だいち不審な場面が散りばめられた彼女の「ユカ」。一気に回収されていく付箋の数々。見たくなかった知りたくなかった真実。怒り心頭する彼氏とご一緒に暖かい目でユカちゃんを最後まで見る事が出来るのかチャレンジしてみて下さい、男性の皆様。。。

 「未完成映画予告大賞」と聞いて何だろう?と思って調べてみたら、3分以内の映画予告を募集する映像コンテストとのこと。グランプリに受賞した作品には賞金100万円贈呈と、映画製作を全面サポートの上、制作費3000万円相当で受賞作品を完成させることができる素敵なご褒美だ。未完だけに「MI-CAN」そう「みかん」がシンボルのコンテスト🍊
 確かにYouTubeでも公開されているんだけど、その予告編はキャストも違えば本編シーンとは全く別物。でも見て感じたのがめっちゃどんなのか続きが気になる内容!ま、その辺は普通に予告を観るのと同じなのかな!自分はこの予告を見て観たいって思って、いざ劇場にて本編観たらキャストもシーンも大幅に変えている!!って思ったらそういうことだったんだって気付いたポンスケですね。。。

 この作品の“児山隆”監督、初長編映画との事だがどことなく観たことのある映像の雰囲気。それもそのはず以前までCMやあMVの監督などしていて「マクドナルド」や「Google」に「欅坂46」のMVの監督を務めていた人とは毎度日々の生活に感動を届けていた人に驚きです。
 そんな監督この映画を制作するに当たっての秘話が、主人公の彼女役「田中ユカ」演じる“石川瑠華”は未完成映画予告から登場しています。監督と彼女の出会いはインスタグラムから見つけてオファーしたとの事。まるで映画の主人公小山田とユカちゃんの出会いのよう。その選択は間違いなかったです。素晴らしい演技力に最後のシーンの表情は奇跡なのかというぐらい美しく切なく不思議な表情を収めていました。
 どうやらそのシーンは未完成予告の時に撮ったシーンとの事で、本編では何回も撮った挙句同じのは撮れないと断念したが、取りたいのは当の最初に撮れていたと述べている。そのシーンは未完成予告の賞を取れたに等しいのでしょう。本編でそのシーンを観た時の感動の余韻は今になっても消えません。

 長くなるのですが、
今作は始まりから、終わりまでずっと涙が止まらなかった映画です。話の流れを知っていたからかもしれませんが、どうしてか涙腺が崩れてしまったのかと思うくらい理由がわからないまま最後まで見終えました。
 それでその後レビューも中々書けなかったのですが、
なんとなくですが思い浮かんだのが、この映画には《喜怒哀楽》が完璧に詰まっているからかな~って感じています。
 テーマ事態、男女の若いカップルだから誰にでも入り込みやすいというのもあるけれど、地獄の様なラブストーリー。精神が崩壊してしまうようなレベルに甘んじてカップルで見るような映画ではない。
 ただ最初の【part1】での小山田君とユカちゃんの幸せで楽しそうな付き合い立てのカップルに観ているこちら側としても《楽》を感じる。そして仕事も順調に成功していく小山田君の姿に《喜》を感じるところから青春という美しさに嬉し泣きと言うのでしょうかつい涙がこぼれる。
 そして【part2】【part3】で知る真実から拗れていく関係性。そこら辺のホラー映画よりも観るに絶えられない残酷なストーリー。小山田君の怒りから《怒》が当てはまるのだろうが怒りというよりもこの映画全体を通して自分にはしっくりくる。もうどうしてもあの時の幸な2人に戻れないどうしようもできない悔しさの《怒》なのだと。
 《哀》は終わった後感じる2人のその後を想像してしまうことです。小山田君は今後も写真を撮れるのだろうか。ユカちゃんはあの後死んでしまうんじゃないか。いや、死んでほしくない、頑張って生きて欲しい。そしてあの写真を観にまた猿楽町であって欲しいです。そんな思いを浮かべながら続きなんかないのに映画の先を考えています。
切ないです。悔しいです。でも観れて良かったというくらい喜びと楽しさに満ち溢れた感動作でした。20代男女の切ない恋愛映画、そこにリアルな圧倒的な人間性とスナップショットから伝わる美学に心震わされています。
過去は写真のように1枚1枚の断片された記憶でできている。あの時の素晴らしい光景。彼女のあの時の表情、喜んでいたり、悲しそうだったり、泣いていたり、最悪な状態でも美しく撮って記憶しておくのが思い出のアルバムを広げた時の楽しみ。思い出すときその人の泣いていた記憶がないのは切ないから。
彼の最後の行動は彼女自身を最後まで愛していた印だったのだろう。


 君の全部の表情を撮る 

 自分はどんな人ですか


ユカちゃんを全て知っているのは小山田君だけなのかもしれない。
あの置いて行った写真も小山田君しかわからない貴重の彼女の記憶なのでしょう。


 本当に素晴らしい映画でした。レビュー書きながら泣いて、シャッフルで音楽プレイヤー聴いていたら、エンディング曲「セブンス・ヘブン」春ねむりさんの流れてきて泣いて、映画思い出して泣いて、泣かされまくりましたが、レビューやっと書けてスッキリしました。次のレビューにようやく進めそうです!でもこの映画もう一度観たいw
さてこの辺で終わるので次の映画でまた会いましょう。それか…

“映画館で会いましょう”


2021/№34
TERUTERU

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