Kaji

ビーストのKajiのネタバレレビュー・内容・結末

ビースト(2018年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

じっとりしたタッチで迫ってくる作品でした。

マイナススパイラルに入ってゆくイソンミンも、曖昧な中間管理職的人物を造形したユジェミョンもほんとうまかった。

 サイコパスが出てくるノワールで犯人像の方に自由さ(人間性は壊れてるが、己の倫理観が完成してて機能してる状態)がままありますが、今作で加害者になっていくイソンミン演ハンスは、正義感や逮捕への情熱のために情報を引っ張り、不正も辞さない刑事でどんどん悪手を選んでいき窮するわけで。
自分で正しと思っている判断基準が悪手を呼ぶ、つまり、自分で設けている制約が
首を絞める展開。
自分との約束が首を絞めてくるって。おーこわ・・

ユジェミョン演ミンテは刑事としたらなかなか冷静な人で、出世欲のためにかつてのバディを心理的に追い込むネズミオトコなわけですが、冒頭の死体遺棄もちゃんと伏線になっていてラストには放置するクズっぷり。


犯人像は「チェイサー」・「殺人者の記憶法」を足したような犯人で、「復讐者に哀れみを」の臓器売買してる奴らも浮かぶ、韓国映画史のサイコたちをパロディしたような人でした。こういう細部にも批評性あるので気が抜けない。

キムホンパ、かっこだけで内田裕也っぽいアブナさが醸せる役者魂、すばらです。マルモイの時はめっちゃいい人の学者さんだったんだよ。
Kaji

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