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「ビースト」に投稿された感想・評価

Aya

Ayaの感想・評価

3.9
#twcn

間違いない上作。

えっ?
なんでみんなコレ観てないの??

こういう作品にハッと出会うために私は前情報をシャットダウンするようになったんだよ・・・と唸らせられる衝撃的な一作。

良作や名作ではなく上作という言葉が似合う。

なぜかいい感じの日本語タイトルが付くことでお馴染みのノワール映画監督オリヴィエ・マルシェルの2004年作品"あるいは裏切りという名の犬(原題:36 Quai des Orfèvres/36分署)"の2019年韓国リメイク作品。

フランスのやつ・・・見たかな?
わかんない!!
なんかタイトルが覚えられな過ぎてどれ観てどれ観てないのかわからない・・・。

いやー凄い。
警察もの、と一括りにするのがもったいないくらいとてもいい。
あの人のあの時のあの顔、とか!
そういえば言ってた!とか!
お気に入りはスリの被害者の彼女のあの顔!!

演出や小道具の使い方がめちゃくちゃ細かくて丁寧に作られていて驚く。
陰惨なストーリーに苦しみながら唸るほど見事。
なんでみんな観てないの??(2回目)

仁川で起こる連続女性失踪事件。
その被害者の1人の高校生があろうことかバラバラの状態で発見された。

容疑者とされたのは彼女を最後に見たという教会の助祭(ちなみにこの地位の人は微妙に結婚できる場合があります)の男が逮捕される。

部屋には多くの若い女性のブロマイドや被害者の下着も押収され即逮捕。
極め付けに学生時代にレイプ事件を起こしたものの示談にしているという容疑者の条件ぴったり。

この物語の主人公である拳と情報で犯人を捕まえるタイプの刑事、イ・ソンミンは過去の事件の被害者が自殺したことを告げ容疑者に揺さぶりをかけ自白させる。

この時のソンミンチーム長が言ってた「被害者がのちに自殺した」って話嘘だと思ってるんですけど、みなさんいかがですか?

教会のしかも神父(助祭だけど)が犯人?!ってうわーいかにもー!性犯罪ドラマっぽーい!って感じするけど、多分韓国は教会が多いから神父という職業の人が人口比率的にも相当数いると思うのでそこはあまり物語に関係ないのかな?と思った。

ファクターとして非常に気持ち悪くこの時に被害者の方が性に奔放で助祭に迫ったみたいな言い方するのも胸糞悪くて(だからって殺していいわけないだろ)この映画、観客が登場人物たちに敢えて嫌悪感を抱くように作ってませんか?
巧い〜!!

しかしその神父の自白に違和感を覚えたライヴァルのユ・ジェミョンチーム長が容疑者が犯行を犯すことができない理由などを述べて釈放するんですね。

は〜。

あれだよ。
刑務所の方が安全なことってあるんだよ・・・。

ちなみにソンミンヒーム長とジェミョンチーム長はどっちかが今度の課長になるらしい。

今の課長はソンミンチーム長に目をかけており、逆になぜか監察課より裏から推薦されるジェミョンチーム長。
犯人逮捕+出世の話が持ち上がる。

事件自体も陰惨で世間を騒がせていたことから2人とも躍起になっているが、ソンミンチーム長に一本の電話が。

※ここ気づきました??電話番号が(011-)から始まる番号なんですよね。
これってワタシニキオクガタシカナラバ使用されてたのって2009年か2008年頃までのはずなのに着信を受けたソンミンチーム長はスマートフォン。しかも他の携帯電話からの着信はちゃんと(010-)から。混在する時期ってありましたっけ?

電話してきたのは仮釈中のドラッグディーラー兼情報屋チョン・ヘジン("白頭山"と違いすぎてわかんなかったw)。

彼女はソンミンチーム長を呼び出したと思ったら、突然自分に罪を被せた憎きディーラーをあろうことか「ある事情」でダッシュボードに入れっぱなしにしていたソンミンチーム長の銃で撃ち殺し、目撃者のソンミンチーム長に死体遺棄幇助を依頼し引き換えに件の連続失踪事件の大きな情報を与える。
(10時に待ち合わせたのに事件が朝の4時?まあご愛嬌程度かな)

彼女から聞いたのは「あるアパートへ女の子が運び込まれているのを見た」というもの。
そこには朝鮮族の野良犬派と呼ばれるチンピラとタイのディーラーが出入りし麻薬取引のアジトになっていた。(後から出てくるけどヒロポン)

韓国国籍を取得していない朝鮮族の親子とその二人を囲む一味。
そして出入りするチャイナタウンの大物キム・ホンパ中国マフィア。
入り組んできたぁ!!

今まで野放しにしていたのが不思議なほどアヤシイ奴らのてんこ盛り。

さっそくソンミンチーム長指揮の元、ターゲットのアパートに張り込み機動隊の応援も揃えていざ踏み込むぞ!となった時にソンミンチーム長の部屋に1人の男が飛び込んでくる。

嘘・・・だったらお前ら今まで何やってたんだよ!!
知ってないわけねえだろ?!

と思わざるを得ない。

このアパートへ踏み込むシーン凄いのよ。

エキサイティングな展開なのに「誰か」と「誰か」が淡々と歩いて進む。

派手なことは一切起こっていないのに憤りと苛立ちと犯人捕まえたる!感がすごい。

ここの部分て「誰が」「何を」「どこで」聞いているか?
「誰が」「いつ」「何を」知らないのか?

がすごく込み入ってていい!!
一回見ただけじゃ正直把握しきれないほどニュートラルに自分を信じて正義のために突き進む「知っている人」と「知らない人」の行動の違いの作用の仕方に唸らざるを得ない。
人間ドラマと情報トリックの見せ方ほんと見事!
なのに派手じゃないとかどんな手管よ泣くわ本当(T_T)

しかし1人で行かせるわけにはいかない!えーい突入だー!の1班&2班の警察たちVS朝鮮族のチンピラ。

始まった始まったぁ!て感じなのに、アパートの狭い通路でバールや四角い棒など在り物で小競りあうシーンがなんか可愛くて面白い。
すっごく狭いのにすっごい人がぎゅうぎゅうにいるんだもんw
笑えるんだけど生々しい。

しかしその先に待っていた絶望に思わず声を上げてしまいました・・・酷すぎる。怖い。

そしてあの窓のシーン。
うわあ!という恐ろしさとその手があったか!という発見。
いやあ・・・あのゴンッてリアルな音は本当に絶望なんだけどなるほど。と膝を打ってしまう。
私もこの状況になったらあれしようw

警察署ではライバルの1班と2班も同じフロアの隣で仕切りとか距離とかいっさいない同じ「殺人課」という分類のみ。

本来はそうあるべきなんですよね・・・劇中何度も出てきますがお互いに協力しあって犯人を捕まえ事件を解決する「べき」なんですよ。

犠牲を出しながら、別部署に恨まれつつも犯人志望のまま事件は解決したかに見えたが?!

チョン・ヘジンの殺してソンミンチーム長が隠蔽した死体が上がっちゃうんですよねえ・・・くそう!!

銃弾調べられたらやべえよ!
38口径(見た感じパラベラム?)なんて世界中で一般的に使われてる銃弾だし、日本の警察も使ってるよ!!
でまあ、ライフルマーク(弾頭に残る傷)を調べればどの銃で撃ったものか特定できるよね?

って話になってソンミンチーム長やべえ!

同時にチョン・ヘジンも「麻薬取り返してこい!」やべえ!!
ってとこからソンミンチーム長の別居中の「賢い」美楼の妻a.k.a監察医を巻き込んでとんでもなくめんどくさい展開になるのに、わりと一個一個着実に潰していくソンミンチーム長。

なかなかこの人マメですよねw
今までも情報屋との癒着や敢えての誤認逮捕など法に反することをしてでも自分の信じた正義を通してきた。

不眠症を患い眠れない日々のなか今そこにある危機が怒涛の勢いで降り注いでいるように見えるがすべて彼が今まで蓄積してきた刑事としてのアレソレの結果である。

それを一番近くで見てきて一番理解しているはずのジェミョンチーム長。
彼は曲がったことが許せず遠回りでも「正しい道」を通して得た結果しか認められない。

なんかこの1班と2班のチーム長同士て昔は相棒だったんですって!
途中いきなり言われた上、なぜ仲違いをしたのかが描かれないので「へ?」ってなったんですけどw

だからこそちょいちょいお節介掛け合いつつもあの結果に行き着いた2人・・・。

麻薬班から異動してきたからかセリフで説明係のイ・サンヒが殺人課のおっさんのイザコザとかしらんがな的にチクチク「そうなの?!」って新事実を教えてくれたり「そうそう!言ってやって!」ってツッコミという名の脅迫をしてくれたりします。

あと、あれすごい!
情報屋としてマダムってバーを経営してる女性が出てくるのですがその人がどうやって情報を仕入れてるかって方法!

うわーなるほど!!!
さすがペダル天国韓国!
これはほんと目から鱗だし頭いいしなるほどすぎて最高だった。
ものの10秒もないシーンですべて納得した。

ふー!

話が大きくなりそう(実際になる)けどそこまで散らばらず、130分は確かに長いが

連続殺人事件+サイコパス+刑事プライドもの+ドラッグ国際問題+実働捜査方法+組織内の派閥+闇社会生き残り+情報屋の手口+Buddy+夫婦愛etc...

すべて見事に詰まっており、且つそれぞれの主張が大きすぎず小さすぎず絶妙なバランスで散りばめられ、130分間目を離す隙も息つく暇も「お手洗い行きたい」と思う暇もない。

元々の事件の陰惨さも非常に胸が痛くリアリティがすごく恐怖心もピカイチ。

もっかい言うけど

いや、ほんとにみんななんでコレ見てないの??(3回目w)
Filmarksのレビューが100ちょっとしかないやん・・・え?

誰かから「これ面白いで!」みたいな話も聞いたことないし・・・え?

え?
なんで??
話題を掻っ攫わないのが不思議すぎるレベルの映画です。
DUNEも007もリドスコも由宇子の天秤も行かなきゃダメなんだけど!
ぜひ観て頂きたい。

キノフィルムズの買い付けの人いいですよね。
相当目利き。
去年の釜山映画祭の時に買ったと思うのですが、外国映画全般質がいいですし韓国映画ならSPOより信頼できるかも。


日本語字幕:李 静華
かこじ

かこじの感想・評価

3.5
おっさん刑事二人の渋い演技が光る、韓国フィルムノワールたっぷりなサスペンス。

とにかく展開がコロコロ変わるので、人名、設定をきっちり観ておく必要がある。

寝不足だったため、ちょっと油断してしまい、「あれ、チェンベって誰だっけ?」ってなってしまった。
なので、裏切りに気づく理由がイマイチなまま、観終わってしまい残念。

銃創跡のついた弾丸を交換するくだりのサスペンスが素晴らしい。
これほどまでに緊迫感を盛り上げて、韓国映画ってすげえな、と思う。
出世主義が行き着く極地の殺伐とした景色に立ち込める血の匂い。底知れぬ疑心、止まらない裏切り。人間の嫌な面を煮詰めたような濃厚な作品で圧倒されました。

容疑者のアジトとなっているアパートでの警察・犯罪組織・機動隊が入り乱れる乱闘シーンの生々しい熱気は尋常ではありません。

綺麗事抜きの暴力のカルマを見せつけるところにも、さすが韓国映画といったエネルギーを感じます。

主演のイ・ソンミンとユ・ジェミョンの演技も息を呑むほどの見応えがありました。過剰さを重ねたエクストリームな作品の魅力の中に、地に足のついた感覚をもたらしているのはこの2人の貢献が大きいと思います。

人間と獣との境界を踏み越えていくことの怖さ。しかし、そもそもそこに境界などあったのだろうかという思いが頭をもたげてくる時、観客は自分の中の獣性と対峙させられます。本作の後味の悪さの正体はこれだろうと思います。

ちなみに『あるいは裏切りという名の犬』はとても好きな作品ですが、観ている間はリメイクだとまったく気づきませんでした…!
磨

磨の感想・評価

3.4
2004年の仏映画「あるいは裏切りという名の犬」をリメイクした韓国ノワール。

そもそもオリジナルが未見というのもあるけど、女子高生猟奇殺人事件としての捜査から始まり、そのまま警察内部と裏社会の関わりなどが物語の中心になり、裏切りや暴力が飛び交う展開はいつも通りのコリアンノワール映画という感じ。調べたらフランス版からかなり大胆な改変をしてるみたいなので、韓国オリジナルと見紛う程の印象も納得。

かつての相棒同士が行き過ぎた正義から確執を呼び、取り返しのつかない事になってしまうという展開はジャンルも国も超えて楽しめる王道作品。
ただ、そのキッカケが弱いし冒頭部分の殺人事件もアッサリ。暴力シーンがエグいのはいかにもだけど、韓国映画のキモである深みが少し感じられなかった。

イ・ソンミンを始めとする俳優陣の熱い演技だけが脳裏に焼き付く。良さげだっただけになんとも惜しい。
ハンスとミンテのみっともない昇進あらそいで犠牲者が増えていくばかり。複数の事件の捜査が並行して進んでいく中で泥沼にハマっていく2人。ハラハラドキドキの展開だったけど、ちょっと長すぎたかな。韓国映画に期待し過ぎたかもしんない。
フランス映画のリメイクのようですが、リメイク元の作品は未鑑賞です。
ノワール的なストーリーをベースに、エンタメとしても面白く、サスペンスとしてもハラハラして楽しめる、とても濃厚な作品でした。
ちょっとしたきっかけで段々とストーリーが広がっていく感じも好きでした。
そこまでやっちゃダメだよ。ほらそういう事になるから。そうなるとまた…で行くところまで行っちゃいました。
じゅ

じゅの感想・評価

3.6

このレビューはネタバレを含みます

最初の1カットから左折専用レーンをブチ抜いてたな。まあそんなことはどーだっていい。

全編通して薄暗くて湿り気があるかんじはめちゃめちゃ好きだな。あと異常者の内面も外面も見事に作り込む手腕はさすが韓国映画ってかんじ。
ただ異様なまでの意思疎通の欠如で以って事を複雑化させてく手法は好かんかなあ。

マダムの店良かったなあ。実はチョン・ハンスの転落にマダムが結構関わってましたって話だったっけか。
そんなんを踏まえると、マダムの店に行くために細い路地を通っていくっていう演出がこれまた絶妙で、なんかハンスが袋小路にハマっていくような印象を受けるんだよな。


警察組織に蔓延る闇を、頭おかしい連中を幾重にも重ねて包み込んで見せつけられたようなかんじだった。韓国の警察事情は全く知らんけど、わざわざ民衆の怒りっていう描写を入れ込んだってことは、現代における組織の腐敗への批判が入ってたのかなと思う。
そう思うと本来重要視されるべき猟奇連続殺人の具体的な経緯は本作ではどうでもよくて、社会的に一発アウトな精神異常者的な行動をさせられない警官という立場のキャラを、次々登場する気狂い連中に引けを取らぬほどやばいやつとして描いてみせたのは見事に感じる。


罪なき少女らを喰らう猟奇連続殺人犯というビーストがいて、昇進を賭けて喰らい合うチョン・ハンスとハン・ミンテというビーストがいる。
ハン・ミンテの部下で元の部署に再転属することにしたあの人。彼女が最後に言ってた内容が超重要なんだろうな。曰く、殺人課が悪党の上に立つ特別なところだと思っていたと。
ハンに実際どうだったか問われて案の定何も答えなかったけど、まあ思ってたのとは違ったって意味の沈黙だったんだろうな。上に立ってるんじゃなくて同じ地平に立ってて、悪党と己らが混ぜこぜになってもはや見分けがつかんよと。

警察の汚職バトルってもっと上層部が関わってるのが常っていう印象だけど、本作は課長ですらない班長っていうヒラに毛が生えた程度のポジション同士がやり合ってる点で珍しいなと思った。そんなんで勝ち上がったミンテが課長になったってんだから、それ以上の役職なんて全部もうドス黒さの極みだろうな。

ハンスは根っからのやべえ奴というわけでもなくて、チュンべがハンスの銃で薬の売人を殺した件の隠蔽工作に奔走してる間なんかはわかりやすく狼狽しまくってたし、ミンテが強引な突入でジョンチャンを死なせた件ではなんやかんや情を見せる一面があった。(ただここの意味わかんないくらいの意思疎通の欠落がだいたいのいざこざのせいだろ。)最後はトチ狂ってミンテに向かって空砲ながら引き金引きまくってたけど。
一方でミンテはジョンチャンを死なせた件でハンスになりふり構わず助けを求めて、一方でチュンべの件でハンスの弱みが垣間見えると全身全霊で潰しにかかる。最終的には薬物を打たれて死にかけのハンスを見殺しにする。
結局はプライドも情も良識すらも捨て切れる者が昇任していくんだな。


なんか、冒頭で轢き殺した鹿の存在すらなかなか示唆的に思えてくる。まさに罪なき市民の象徴みたいな。
運が悪かっただけで殺されて、死してなお警察の都合で利用されるかんじ。旋条痕の偽装のために死体撃ちされるところなんかがまさに。
直接的な描写は無かった気がする。あったんだろうか。動機なき非運な人死にが出まくってる事件が組織内政治に利用されまくるっていう本作の大曲的な状況そのものを指してたのかも。
好物の韓国警察物。
猟奇殺人から始まって、班長同士の出世争い、国際出稼ぎ犯罪、夫婦の絆、友情、虐待等々…色んな要素がどんどん出てきて面白かった。

半ばくらいまで「何だか惜しい、何かが足りない」と見てたけど、終盤に行くにつれ面白くなった。

猟奇的な要素はあるんだけど、映像としてグロい場面はほぼなかった。残された手掛かりや音声で猟奇的な犯罪シーンを想像させるという手法だったけど、これが結構怖い。

男の友情を軸にしたり、グロ映像を抑えたり、新しい見せ方の韓国ノワールみたいに感じた。


《追記》
ちょっと新しいような気がしてたら「あるいは裏切りという名の犬」というフランス映画のリメイクらしい。

《追追記》
しかも実話ベースらしい。
記憶が薄れないうちに見たいな。できるかな?
ani

aniの感想・評価

3.6
女子高生のバラバラ殺人事件の解決を巡って殺人課の二人の班長がぶつかり合う。

何か物足りない...。
二人のこじれた関係を描いた作品なのだけど、登場人物や情報量が多くてごちゃごちゃし過ぎている気が。
雰囲気や主演の二人は良かったので、もっとシンプルなストーリーにして欲しかったな。
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