すずき

ソウルフル・ワールドのすずきのレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
3.1
ジャスピアニストとして大成する夢を持つ、中学校非常勤講師の中年ジョー。
いつまでも叶わない夢を追いかけ、非正規で働く彼を母親は心配している。
だがある日、有名ジャズ奏者のカルテットに参加出来るチャンスが巡ってくる!
しかし浮かれた彼はマンホールに落ち、その魂は肉体を離れてしまう。
現世に戻ろうと足掻いた彼が行き着いた先は、これから人として生まれる魂の世界。
無垢な魂は、ここで上位存在によって教育され、自分の個性を獲得し、現世へと送られるのだ。
ジョーはそこで魂の教育係となり、いつまでも現世へと行けない魂の問題児「22番」の教育を任される…

ピクサー長編アニメーション第23作。
死後の世界が舞台…かと思いきや、生前(生まれる前)の世界が舞台…かと思いきや、やっぱり現世が舞台。

良かった点は、リアルな現代のニューヨークとジャズ音楽を描いたシーンのアニメーション。
魂の世界も、オリジナリティを出そうと頑張っているが、現代ニューヨークの情景の方が見ていて楽しかった。
魂の世界は、特定の宗教に偏らないよう配慮しているけど、そのせいかどうにも刺さらない。

主人公が「22」と出会い、2人して現世に行ってからが本編なんだけど、そこに至るまでの前置きが妙に長い!
魂の世界の設定を語る事に終始している印象で、ハッキリ言うと面白くない。

そして再び&初めて現世に来た2人のトラブルを描く本編、あんまり驚きがないストーリー展開に乗れない。
ディズニー&ピクサー映画を何本も見てるからか、
ここでアクシデント→ここでドキドキさせて→クライマックスに伏線回収→感動シーンだ、さあ泣け!
…という、システマチックな脚本の組み立てにわざとらしさを感じるようになってしまった。
ピクサーの脚本制作メソッドのマンネリか。
捻くれた私には、テーマも説教臭く感じて、感動シーンでも「こういうのどっかで見たわ」と冷めてしまった。

舞台設定や映画の構造、異世界の描き方が「インサイド・ヘッド」とよく似ているように感じた。
そして冷めるポイントもよく似ている。
今度のピクサー最新作「マイ・エレメント」もなんか似たオーラを感じるのだが、杞憂に終わって欲しい。