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クイーン&スリムのSSDDのレビュー・感想・評価

クイーン&スリム(2019年製作の映画)
3.8
■概要
ある日ダイナーで初デートをしたカップルは、帰りの車で警官に止められ横柄な態度を取られる。弁護士である女性が抗議すると撃たれ、男性が止めようとすると警官を射殺してしまう…。
カップルは黒人だった…こうして2人の逃亡劇が始まる。

■感想(ネタバレなし)
流れる曲のセンスが素晴らしい現代のボニーアンドクライド。
不当な黒人差別の様々な事件をモチーフに社会現象と化していく逃避行を描く。

ちょっとポリコレが過ぎる感があるものの、様々な社会問題を風刺しながら進み、アメリカの差別的な闇を色濃く映し出す。

少し性格に難がある女性がかなりきつく感じるし、男性側は知性は感じないものの家族愛の深い男性として描かれるが、色々感謝が足りない…。

とても良くできた作品であるのは間違い無いのだが、一方的でどうしても美化され過ぎてる感が強く感じてしまうので手放しで賛美できない感は否めない。










■感想(ネタバレあり)
・社会風刺
途中での田舎風景で男性が景観が美しいと言うと、黒人達が畑仕事をさせられているような描写があり、そう?と返す女性。
未だレッドネック(畑仕事で首を日焼けしてる人々を指す差別用語)は黒人だらけだと揶揄してる描写。
おじはイラク以降病んでいると戦争を絡ませる。
無抵抗のものにも簡単に発砲し、武装しているのでやむない判断と発表する警察。
…など誇張とも言えないアメリカの闇を描写するのだが、どうしても黒人贔屓である本作の中で出されると並べられた社会風刺にお腹いっぱいになってしまう。

・事の発端
弁護士として有能さを発揮したく、親族とは疎遠の女性の性格がキツ過ぎる。

車の修理をした男性が言う通り、警官の横柄な態度を我慢してやり過ごせたはずだ。

もちろん男性側も、早くしろなんてやましいことがないからと言ったりするべきではない。相手の立場になれば、蛇行運転を目の前でした車で、どんな武装または麻薬などの犯罪行為を隠してるかもしれないと怯えながら職務をしているのだ。

逮捕はやり過ぎとしても触発する必要はなかった。映画なので始まらないと言えばそうなのだが、黒人贔屓過ぎるのは二人がその立場の人を思いやる描写に欠けている点に尽きる。

・総評
上記の通りちょっと過剰な点は目立つものの、逃亡劇は飽きさせずに魅せ。
暴動や社会現象となり、死んだらレジェンド、セイントになり得るという今のアメリカの病んだ文化を象徴する作品として観る価値は高い。
逆にここまでくると逆転の発想で、わざと一方的に見せる嫌味的な意図があるではないと勘繰ってしまう。
兎角現代のボニーアンドクライドを美しい音楽に乗せて創り上げたのは素晴らしい。
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