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ガリーボーイのkassyのレビュー・感想・評価

ガリーボーイ(2018年製作の映画)
3.7
ムンバイのムスリムのスラムに住むムラドは、使用人の息子として生まれ未来が見えないまま、大学だけは出ろと言われて通っていた。そんな中ある日大学でヒップホップをするMCシェールと出会い、人生が変わっていく。実在するアーティストの驚きの半生である。

インドの抱かれたい男ランヴィール・シンを主役に据え、インドの身分社会からくる職業選択や恋愛の不自由さを描き、ヒップホップで格差や立場の想いの鬱憤を爆発させながら夢を掴んでいく成り上がりストーリーだ。

邦画でもつい最近WALKINGMANというラッパー映画があったが、比較するとあの作品はかなり孤独だったなと思う。本作は良い仲間との出会いがあり、友人や恋人の支えもあり、どん底の家庭環境でもなんとか夢へと向かっていく。

インドもだいぶ恋愛結婚が増えたもののお見合い結婚がまだ多いなか、この映画のヒロインはかなり情熱的なヒロインだ。身分の違いもなんのその。とにかくムラドを愛したり、学問を追求し仕事を重視しながらも自由を求める姿は現代的。

ムラドも使用人の息子は使用人という身分をどうにかもがこうと、父に訴える姿はやはり現代的。父がとにかくどうしようもなく哀れに見えてしまうが、若い女と重婚してるクソ親父だし、同情は出来ない。家庭環境が地獄すぎる。(家はお金がないから観光客の観光ルートになってるのがすごい。)

どん底のスラムから成り上がる様はまさにヒップホップの真髄。
ここ最近のインド映画のムーブメントである、古いしがらみから解き放たれようというメッセージがかなり詰まった映画だった。
ミュージカル的要素はあるが、インド舞踊はなしで、曲もヒップホップがほとんどなのでかなり異色かもしれない。
ストーリーも山あり谷ありでかなりのエピソードが盛り込まれて、ドラマを1クールくらい見たようなお腹いっぱいさがある。
MVのシーンなどはかなりカッコ良く決まっている。
インド映画好きな方はぜひ!
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