甘味

アルプススタンドのはしの方の甘味のネタバレレビュー・内容・結末

1.5

このレビューはネタバレを含みます

元の演劇版はまったく知らないまま鑑賞したのですが、これきっと元は演劇なんだろうな…とすぐに気付きました。
特にセリフの不自然さが、映画とはミスマッチに感じました。

テーマはとても良くて、学生時代の自分が見たら、きっと励まされたと思います。

舞台では限られたシチュエーションと装置の中で、セリフや身振り手振りを使って演出をする必要があるので、大袈裟な演技やセリフ回しでも気にならないのですが、映画ではカットインや細かな演出もできるはずなのに、それが全くなかったので、演劇を映画にする醍醐味や意味についてあまり深く考えていなかったのだろうかと終始モヤモヤしました。

大声で叫んで声が枯れている割に汗ひとつかかない先生、暑い暑いと言いながら汗染みひとつないキレイな衣装を着てただ扇いでるだけの人たち、最後にみんなの心がまとまった瞬間、一斉に顔に張り付く髪の毛など、カメラワークがあるからこそ役者みんな細かくメイク直ししてる場合じゃないでしょ、と。
冒頭で「ファウルボールから逃げるためにみんな避難してるんだ」というセリフがありますが、グラウンド整備始めるところを見てそんな発想するか?と。
むしろ「休憩時間なのかな?」という発想の方が自然なのでは…グラウンドを徹底的に映さない演出も舞台なら当たり前だし、べつに映像作品としても有りだと思うのですが、グラウンドを見てセリフが出ている気がしないなぁと思うことが所々あり、映していないグラウンドがどうなっているのかが全くイメージ出来なかったのは、映さない演出として正しい形ではないと思います。

セリフも着地点ありきで話しているので、そんな受け答えする?とか不自然な会話が気になりました。
ある程度、学生なら脈絡ない会話もありだと思うのですが、結局そういう展開になるよねっていうのが分かりやすく、意外性もないので、セリフを言ってる感が強くなっていました。

個人的に一番違和感を感じたのが、宮下さんが先生と話していた時、吹奏楽部がそれを見てわざわざ足を止めるのも意味が分からないし、宮下さんは女子トイレと逆方向へ咄嗟に逃げていくのに、次のシーンでは女子トイレから出てきて吹奏楽部と鉢合わせるっていう、謎空間。
宮下さんの移動方向とトイレ、吹奏楽部員、自動販売機の位置関係がおかしくないですか…だったら先生との会話をそもそもその場所にしなければ良かったのに…。

宮下さん、とてもとても可愛くて好きなんですが、キャラクターの役割としてもよく分からないというか、宮下さんを吹奏楽部部長にしても別に成り立つんじゃないの?という気もしました。

きっと舞台で見たら、もっともっと楽しめただろうなと思うのですが、映画としてはとことん自分に合わないなと感じた作品でした。
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