ノラネコの呑んで観るシネマ

ホドロフスキーのサイコマジックのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.1
ホドロフスキーの映画は全部変だけど、これは中でも珍品。
精神分析学の創始者フロイトは、科学に基く言葉を用いて患者の葛藤の根元を解き明かす。
対するホドロフスキーは、芸術に基く“サイコマジック”という行動によって、体験者の葛藤を解消する。
多彩な人だとは知っていたが、こんな心理セラピストみたいなことまでやってたとは。
映画は様々な心の傷に苦しむ人々に、ホドロフスキーがサイコマジックを施すプロセスを描く。
例えば、母の愛を感じられない女性には、「生まれる」ことを再体験させる。
父への愛憎が強く、自殺願望を抑えれれない男性には、「死」を体験させる。
やってることはいわゆる演劇療法みたいなことなんだけど、そのスタイルがホドロフスキー節全開なのが可笑しい。
やたらと脱がせるのと、人を色んな色に塗るのが大好きw
そして彼の過去の映画表現もまた、サイコマジックであるという。
劇映画ではなく、いわば自己宣伝のドキュメンタリーの一種だけど、終わってみるとやっぱりホドロフスキー独創の世界になっている。
しかし彼は、スペイン語圏ではあんなに動員力があるのね。