このレビューはネタバレを含みます
心身ともに満身創痍のチェン・ニェンとシャオベイは、いつも静かに涙を流す。声を上げると傷口が開いてしまうから。
シャオベイは最後まで泣き声を漏らさないけど、チェン・ニェンは4回声を上げて泣く。それは、なにかを失った悲しみを抑えきれなかったとき。
でも、最後の泣き笑いの涙だけは、ニュアンスが違う。いろいろなものから解放され、自分の尊厳を守ったことに安堵した涙だった。
「イジメ問題」を背景に制作された映画だけど、いじめっ子がモロにサイコパスなので、一般化するのは難しい。
それよりも、映画が描いているのは、若い2人が残酷な社会でどうやって生き残っていくのか。もがく。
その切迫感に胸が詰まる。
「わたしは世界を守りたい」「だったら、キミは世界を守れ。オレはキミを守る」
チェン・ニェンの目標は潰えたかのようにも見えるのだけど、子供をイジメから救うことで世界を守っているのだった。
そして、チェン・ニェンを守るはずのシャオベイも、結局はチェン・ニェンに守られる。
思えばはじまりから、2人はお互いを守り、そして、守られてきた。
映画が終わった後もその関係は続く。
美しい結末。