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少年の君のslowのレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
4.3
涙に暮れている。涙が流れ続けている。血がこの身体を流れ続けているように、涙も血なのだとわかれば、それはもっともなことのようにも感じる。腐った社会は不在の親は、あなたとわたしたちが流したその血の海を泳げと言い、何メートル何キロメートルを息継ぎなしで行けと言い、板切れ一枚浮いていようものなら、我先にと他人を蹴落とし縋る思いでしがみ付く様を称賛し、その地獄の日常化を暗に推奨し続けている。ただし、鬼畜になりさがるも、それを諫めるも、どちらもわたしが決めなければならないのは、何故。わたしたちは日替わりの共犯者Aにクレジットされるエンドロールを観るために、何度溺れなければならないのだろうか。わたしの血は、いつ涙と呼ばれ、許されるのだろうか。
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