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夜明けのすべてのslowのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
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人それぞれ、抱えているものは違うし、その大きさも、また人それぞれ。不安や苛立ちは容赦なく、日常の風景を絡めとっていってしまう。そんな中にも、守り抜いて来たいくつかの楽しみがあり、新しく生まれるおかしみがあり、それを大事に両手で抱え、おひとつどうぞ、とお裾分けしてくれているような物語だった。たえがたいものであろうと、向き合わなくてはならない時がある。別々の、示し合わせたものではなかったはずのものにも、重なり合う瞬間があるように、わたしたちのそれぞれは全くの無関係ではないのだろう。人によってはおせっかいに感じてしまうようなことが、もしかしたら、誰かの持つ疑いを、ひとつでも少なくしてあげられるかもしれない。わたしも何万分の夜に、その寂しさについて、そんなつもりもなく話せたらいいのに。そんな夜明けを待ち望んでいる。
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