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さすらいの二人のslowのレビュー・感想・評価

さすらいの二人(1974年製作の映画)
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右も左も同じに見えているうちは、誰かがまっすぐ羽ばたくための標にでもなろう。何も欲しくはないけれど、誰かにとって必要なものも不要なものも、自分は持っている。そう名もない鳥は言った。ただ、空の素晴らしさと恐ろしさの中で、誰に呼ばれることもない鳥は、名を持っていないことを知る。鳥は初めて何かを欲しいと思った。世界の果てまで飛び続ける者の名を。本当の名である必要はない。その名も、三日と飛べば忘れてしまうだろう。ここから見える景色がすべて。いつか振り返りることもない。鳥は自分が何者であったかも、やがて思い出せなくなるだろうと笑い、空虚な世界を飛び続け、その名を待ち、そのことさえも忘れてしまう。
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