電気羊

少年の君の電気羊のレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
4.5
えげつない胸糞映画+純愛映画という珍しいパターン。

主人公は進学校に通う受験を一かけ月後に控えた女子高生の少女。
ある日、友人が校舎から飛び降り自殺をする。
少女が、その死体が人目にさらされないようにジャージの上着をかけてやったことから、死んだ友人をイジメていた女子グループの次の標的にされてしまう。

自宅に戻っても、母親は顔面パックのねずみ講で借金を返せと債権者がアパートのドアをひっきりなしに叩く生活。

少女は学校にも自宅にも居場所はなかったが、下校中に不良少年が3人組のチンピラからリンチされていることろに出くわす。

少女は、見ず知らずの不良少年のために警察に通報するが、チンピラに見つかりスマホを壊され、お金も恐喝される。
さらには悪ふざけのついでに不良少年とのキスを強要される。
少女は不良少年を助けるためキスをするが、不良少年は少女のプライドを踏みにじったチンピラに激昂。
チンピラのリーダーを逆にボコボコにする。
不良少年は、助けてもらったことに恩義を感じ、盗品スマホの部品取りの技術で、壊れた少女のスマホを修理し、奪われた金も返す。

学校では相変わらずいじめグループからの嫌がらせを受けていた少女だったが、行き場のないまま不良少年の自宅に招かれ質素な食事をもてなしてもらう。
不良少年は、少女に下心があるから助けていると告げると、少女は「礼儀を弁えて」と文句を言う。半グレとして生活している不良少年は、「そんなものは必要ない」と言い捨てる。
そして、殴られたのなら殴り返せと少女を勇気づける。

少年の言葉にいじめグループへ犯行の意を表し、友達が自殺した原因がいじめにあることを刑事に話した少女は、いじめグループから自宅付近で待ち伏せされ身の危険を感じる。
少女は、身の危険を感じ、今は無一文なので出世払いで不良少年に守ってくれるように依頼する。
不良少年はイジメグループに少女をイジメたら殺すと脅迫し怖気尽かせる。


少女が不良少年の自宅で勉強していると、帰宅した不良少年が着替えているところを目撃すると、常に暴力沙汰が絶えず、全身傷だらけであった。
13歳の頃から、親に捨てらた不良少年は、頼る者もなく孤独に生きてきたのだ。
少女は不良少年の生い立ちを知り、親に相手にされていない自分の境遇に重ね合わせ徐々に心を開き始める。

だがイジメグループはさらに陰湿な手段で復讐してきた。
イジメグループの一人を少女の味方の振りをさせ、少女を信用させたところで、油断させ、不良少年を嘘の暴行容疑で連行させたところで、仲間と共に少女に暴力を加えてきたのだ。

釈放された不良少年は、髪を切られ傷だらけになった少女の姿を見て激昂し、復讐しに行こうとするが引き留める。それでも行こうとする不良少年に「それなら全員殺して」と言われようやく自制する。

髪を切られた少女と同じようにバリカンで坊主頭になった不良少年はバイクに少女を乗せ学校まで送る。

高校では大学の受験票が配布され、少女はこの腐った生活から逃げ出せるチャンスを得る。

そして受験初日、工事現場から殺されて埋められたイジメていた女生徒の変死体が発見される。

刑事は、被害者の血痕が残っていた車の持ち主から不良少年の仲間を割り出す。

警察はイジメグループから証言を聞き出した結果、少女がヒドイいじめを受けたことを聴取する。
警察は少女がいじめを受けても通報しなかったことに不信感を持ち、復讐が動機だとし少女を容疑者とする。

その事を知った不良少年は、容疑者となった少女を助けるため、今度は少女を襲い自分が犯人であると庇う。
少女は拒否するが、不良少年は未来の無い自分の代わりに、少女に未来を掴めと諭す。

警察で事情聴取を受けた不良少年は殺害動機をレイプしようとして抵抗されたからだと供述する。

だが、真相はそうではなかった。イジメグループの首謀者が警察の取り調べを受けたことで、地元の名士である父親に汚名をかぶせたことに怒っており、少女が警察に供述すれば大学受験できなくなるため、少女に詫びを入れてきたことに端を発する。
少女はイジメグループとは無関係でいたいと断るが、首謀者の心無い言葉にカッとなり階段から突き落とした際に、打ち所が悪く死亡したのだ。
その事を告げられた不良少年は少女に「大学へ進学して何をしたい?」と問うと「世界を平和にしたい」と、不良少年は「ならば俺は君を守る。」と返答する。

警察は、少女と不良少年の供述に微妙な差異があることから、首謀者殺害は、不良少年単独ではなく少女との共犯、若しくは少女が真犯人の線が強いと見る。

警察は二人に対して尋問で揺さぶりをかけるが、この世界で今までお互い以外には誰も守ってくれなかった二人の決意を翻すことは出来なかった。

大学合格発表の日、合格に喜ぶ少女の元へ刑事が来訪し、不良少年が死刑になったと嘘を仕掛ける。
逆上した少女は、耐えきれず刑事につかみかかり抗議の声を上げる。

かくして不良少年と少女の企ては水泡と帰してしまうのだが。
警察に連行された少女と不良少年は再会し号泣するのだった。
その後、それぞれ連行されていく二人。

オープニングとエンディングで成長し英語教師となった少女の姿が描かれている。
そのクラスの中に様子のおかしい少女が一人いることに気付いた少女。

放課後連れだって歩く二人だが、少女の腕には傷痕が見え、その後ろをかつての不良少年が見守るようについていく姿で終わる。

そうか!これはいじめ防止の映画だったのか。(気付くの遅すぎ)
電気羊

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