mimagordon

ブラック・レインのmimagordonのレビュー・感想・評価

ブラック・レイン(1989年製作の映画)
4.2
マイケル・ダグラス、高倉健、そして松田優作。日米の文化が交錯するノワール。日本の描写がいかにもアメリカ的なのは確かだが、映画の文脈としては腑に落ちるものだった。つまり、仁義を重んずる日本の伝統が、戦後の西洋化で変わり行く。そのとき、アメリカからきた「ガイジン」と、警察に属す法の番人ながらその目を掻い潜りのさばる無法者にフラストレーションを抱える警部補、そして古き時代の流儀は通用しない新世代のヤクザの親分という三人のはみ出し者がどう落とし前をつけるのか。マイケル・ダグラス演じるニックと高倉健演じる松本警部補が、理解し合えないながらもお互いへのリスペクトを育んでいく様は、日本的な繊細さにも思えた。そして松田優作の存在感はもう圧倒的。これが遺作になることをわかっていて臨んだというが、華麗なる幕引きではないだろうか。

難点を挙げるなら、プロットが散漫でもたつくところ。ノワール風にするためなのかキャラが多く、もう少しタイトにできたように思う。それでも、リドリー・スコットの映像美とハンス・ジマーによる名スコアで徹頭徹尾「かっこいい」が貫かれた映画だった。
mimagordon

mimagordon