FATMAX夜食のデブロード

ルパン三世 THE FIRSTのFATMAX夜食のデブロードのレビュー・感想・評価

ルパン三世 THE FIRST(2019年製作の映画)
3.5
数あるルパンの一編として考えるか、山崎貴が作った作品の1つとして考えるかで感想が変わる。

ルパンとして考えれば、確かにストーリー的に上位に来る程ではなく、正直言って心に残るタイプではなかった。

とはいえ観るに耐えない程のモノではなく、ぶっちゃけTVで放送される単発スペシャルアニメにはもっと酷かった作品だってある。

話としては緩急もあったし、及第点としたい。



次に山崎貴作品として考えた場合。

彼の"フルCGアニメ作品"としては間違いなく上位と言って良い。

ルパンであるがゆえなのかは謎だが非常に絵ヅラの収まりも良く、これだけ2Dアニメキャラクターとしてガッチリ確立したモノを3DCG化するという行為に対して、敢えて今回はモーションキャプチャーを未使用で「アニメ的ルパン的な動きにこだわった」というのは観てて良く分かるし、事実良く出来ていたと思う。

2D/3Dの差違をなだらかにする意味でプレスコ(セリフ先撮り)の効果は実は絶大。

ワシは2Dアニメも好きだが2Dアニメ原理主義ではない。

もちろん2Dアニメと3Dアニメでまるで同じ事をやるのは無理があるとは思う。

しかしコレだけやってても動きにイチャモンつけるのは如何なモノか?
ソコまで言うならもう2Dアニメはソレ以外の表現をするなと言ってる事と差異がないのでは?…と個人的には思う。
(極端な話、オリジナル媒体以外の全てを否定する事と繋がると思うのだが…)


ストーリーも山崎貴的なクドさ多めな演出はあれど、そこまでヒドい感じでもない


いや、もちろん思いましたよ。
『また やってる。』って。

何よりもルパンの中でも名作名高いアレやルパンじゃないアレ感漂う設定や展開等、相変わらずオマージュ超えて"パクり"寄りな融合とは言えなくもない部分はある。

ただ、そのせいで どこぞのド◯泣き映画の様に雑なサンプリング&ミキシングで、本来そうではなかったはずのメッセージ性や整合性が陳腐化や破綻まで起こしているぐらいの露悪的内容や展開だったか?と言われると、

『イヤ、そこまでじゃなくね?』

と思うんだけどね。


この感じで《THE FIRST》って言ってんだから、続編でCGルパンというカテゴリを跳ねさせる事は出来るのでは?

ソレぐらいの可能性はある…ぐらいには思えたのですよ。
(じゃあそれがあの人に出来るか?言われると…まぁソコはチョイと不安強めですけどw)


もちろん「たまたま今回はソレぐらい出来ただけ」なのかもしれないが…更に言えば"脚本家"の山崎貴は好きじゃないが、だからと言って『山崎だからダメ』みたいな言い方はしたくないなぁ…と。

他の山崎作品(実写含め)と比べても結構良い方だとは思った。


ワシは山崎貴って"技術屋"だと思ってるので、CGでココまでやった事は素直にホメたいし、そもそもディ◯ニーアニメと比べるなんて間違いだ!ぐらい言いたい。

予算もマンパワーも違い過ぎる。

更に言えば、仮にディ◯ニーが作ったとしても日本のアニメーションの機微を出せるかは疑問を持っている。



〈声優に関して〉だが、

今のTVスペシャル版だって他のTVアニメ作品劇場版だってゲスト声優に異業種の人は使ってるでしょう。

ワシは『すべからく声の仕事は声優に』という考えには基本的に"否"の考えなので、ソレを主軸にした否定はしません。
(ならば声優が実写ドラマに出たり歌手活動する事を貴方は否定してますか?と思う)

ましてやこの作品の場合、既存のキャラクターで過去に声優が演じていたというパターンでもない。

ソコをしっかり言わせてもらった上で言わせてもらうなら、

『結構 頑張ってたと思うよ。』

って感じですかね。

ルパンに限らず他作品でも『…ん?』ってなるパターンはある。
この作品に関してはソコまで酷いとは思いませんな。




結論としては…

技術屋としては、とても頑張って作っていると思う。やはり日本においてCG映像面では第一人者だ。

物語は、次回もあるならCGルパンの傑作誕生目指して頑張って下さい(←サンプリングに頼らず)。

…という感想である。



続けるならスパン(定期的な恒例)とか そういう事を目指すなんて事を考えず、『CGルパンも面白い!』言われる様になる作品を目指せよ、


《THE FIRST》言っちゃったんだからな!!


(という事で今回は"山崎やたらと英語タイトルつけちゃいがち問題"はあえてツッコまない。)