べーた

劇場のべーたのネタバレレビュー・内容・結末

劇場(2020年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりに夜更かしして一人で邦画を見たい気分で。最近よくCMを見るから気になってた「劇場」をチョイス。
ピース又吉原作の1作目「火花」が良かったから期待感を持ちながら、ただAmazon primeだけ会場上映と同時配信という先進的な試みに猜疑心も抱きつつ、かなり迷った上の選択やった。

一言でいえばヒモ男の実態を描き切った映画。主人公「永田」は、コミュ障なのにプライドが高く、おもんないのに自己承認欲求だけ一人前という一番嫌いなタイプの男で、クズすぎる言動に嫌気がさして何回も停止ボタンを押しそうになった。
ヒロインのさきちゃんは、ヒモ男を育てるのに最適な、押しに弱いすごい良い子で、この子の人間的な弱さもこれでもかと描かれるんやけど、俺は全面的に永田を批判したい。
そもそも人間の負の面を描けば深い映画だという風潮は間違ってるし、中身もなくそうゆう思想のもとで作られた映画は見る人を不快にさせるということを自覚すべきと思う。「劇場」に関してはこの限りでなかったから文句言えへんけど。笑
最後は永田が後悔してさきちゃんが立ち直って、2人で幸せだった時期を思い出して理想だった未来を語り合うハッピーエンドだったから少し救われた気分になったけど、これくらいで永田の気持ちを汲めるほどアホじゃない。

同時配信のことやし駄作を見せられるんちゃうかと決めてかかっていたことはまじで謝りたい。完全にひっくり返されたし流石におもしろかった。ひとりで家で見切った2時間強の映画なんてそうそうない、わりと寝てしまうのがオチなのに。
小説を原作に敷いているからこその展開を進めるナレーションも実に効果的やったし、終盤の畳み掛けも圧巻やった。爆発して永田を問い詰めるさきちゃんも、急に大阪弁になって真相に迫り始めるさきちゃんも秀逸で素敵だった。

山崎賢人は、キングダムのあの人?まじで?て感じ。演技すごくうまいんやね。
松岡茉侑は今までたまたま出てる映画しっかり見たこと無かったけど、推せる。特に今作はめちゃかわだと思う。
映画全体の雰囲気としては火花と何者の間って感じかな。そりゃそやけど。
又吉直樹の小説原作を一作も読んでないなあと思うし読みたいなあと思うけど、見た映画が2つとも良かったから原作が上回ってくる自信がなくて手が出せへん。
それくらいいい映画やった。ヒモにはなれへんわ俺は。
べーた

べーた