ローマの三つ星レストランで活躍した名シェフのアルトゥーロ。短気が災いして同僚をブン殴り逮捕された彼が、刑半ばでシャバに戻ってきた。減刑の条件は数ヶ月の社会奉仕。アルトゥーロの仕事は、自閉症患者の自立支援施設で料理を教えることだった。自閉症に全く理解もなく、適当に授業を続けるアルトゥーロは、アスペルガー症候群クラスの生徒グイドが絶対味覚の持ち主で料理の才能を持っていることを知る。グイド本人も料理人になる夢を持っており、トスカーナで開かれる若手料理人コンテストに応募したというのだ。グイドにやたらと尊敬されたアルトゥーロは、そんな彼の付き添いでトスカーナへ一緒に移動することになるが…
「トスカーナの幸せレシピ」。
以下、トスカーナのネタバレシピ。
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意志に反して教師(コーチ)になった人間が、次第に教え子に情を抱いて応援し、心から見守ってやるようになる話…という、あまりにベタなストーリーライン。「がんばれベアーズ」「飛べないアヒル」「ミュージック・オブ・ハート」などの亜流です。ただ、喫茶店のナポリタンやケンタのチキンと一緒で、ベタ中のベタはハズレ度が低いんです。ゆえに本作もそれなりの面白さと感動は保証。
短気暴力シェフとアスペルガー青年というコンビの妙味が良かったですね。「自閉症についての知識は?」と訊かれて、「落とした爪楊枝の数を瞬時に言い当てちゃう奴だろ?」と答えたように、当然「レインマン」オマージュもあります。ただ終盤に駆け足になってエモさに欠けたり、アルトゥーロがすぐヒロインとベッドインしちゃうあたりがなんか雑。