Stroszek

モータルコンバットのStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

モータルコンバット(2021年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

凄惨な人体破壊の幕を開けるクン・ラオの"Flawless victory"や、彼の仇を取ったときにリュウ・カンが述べる"Fatality(対戦者死亡)"といった台詞がゲーム原作っぽい。後者は静かに発せられたのが予想と違った。もっと派手な台詞回しかと思っていた。ここらへん、ゲームと映画の違いだろうか。

魔界(outworld)と人間界(earthworld)の選ばれた戦士たちの十回戦の戦いを"Mortal Kombat"と呼んでいる。人間はこれまで九回連続で負けていることになっている。最後の一回に負ければ人間界が魔物の手に堕ちてしまう瀬戸際であり、この映画では、終盤30分の一対一の戦いが十戦目に当たるのだろう。

戦士の証である"dragon mark“を持っている者が覚醒し、それぞれの奥義に目覚めるという設定。面白いのは、超絶的な強さに目覚めても人間の知略や底力に負けてしまうこともあるということだ。そうすると、"dragon mark"は勝者に受け継がれる。ソニアとカノウの戦いでは、「頑張れソニア、マーク取って!」と応援しながら観ていた。

アジアの格好いい俳優勢揃いという風情の映画である。真田広之と浅野忠信は日本人の贔屓目もあるかもしれないが流石にキマってた。

あと飛び抜けていいな、と思ったのは、サブ・ゼロ(=ビ・ハン)役のジョー・タスリムとシャン・ツン役のシンガポール人俳優チン・ハン。特にハンは凄い貫禄で、IMDbで調べてみたら三船敏郎等と並んで「アジアの偉大な俳優二十五人」(CNNgo選出)の一人に選ばれていた。

コール・ヤング役のルイス・タンも精悍な別所哲也という感じでよかった。

リュウ・カン役のルディ・リンは女性と見まごうばかりの流麗さである。

彼らのようなアジア人俳優にはハリウッドでもっと活躍してほしいと思う一方、アジア人女性はそう言えば一人もいなかったな、とここまで書いていて思い当たった。

エンドロールを観ていて気づいたが、ジェームズ・ワンのプロデュースだった。つくづく勘所を押さえた映画人である。
Stroszek

Stroszek