ストレートに一言で言うなら『面白かった』という言葉で済む。
面白かった。
そもそも設定やトレーラー(予告編)のルックで「コレは面白そう!」という期待にちゃんと応えてくれているのだから、もうソレで合格である。
根底にある右だろうが左だろうが「過激派なんざロクなもんじゃねぇ」という《メッセージ性/風刺》や、ソコを絡めてBモノなテイストのブッ飛んだ設定や展開に落とし込むという 映画としての《構築の上手さ》という意味で言えば間違いなく良く出来ているし、もちろんソレを含めての『面白かった』という感想である。
薄っぺらい人権の主張とか陰謀論とかホント見事なブッ刺し方してたわw
……なんだけど、
(ココから下は若干ネタバレ有りなので嫌な方/観てない方は読まない方が良いです。何も知らない方が楽しめる作品ではあるので。)
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いわゆるジャンル物として"人間狩り"をネタにしたアクションスリラーで考えた場合、色々と怒涛の展開である序盤が視点の変更も含め秀逸であり、道中も非常に緩急があった分 チョイと、
『クライマックスがバトルというよりはケンカの域』
に見えてしまったのがジャンル物好きな身としては物足りなく感じてしまった。
(ただし ほぼNOスタントダブルな2人の演者やファイトスタイルの差別化、カメラワーク等、演出/技術的にはとても良い)
当然映画としてのバランスを考えての事だろうし、風刺という意味ではアレで良かったのだろうけど
「あそこまでブッ飛びな設定+エクストリームな演出で進んで来たのに、シンプルに派手なケンカ?…で、終わり??」
という思いも無くはないんですわ。
そもそも片やアフガン経験者の元軍人、片や8ヶ月のコンサルレクチャーで仕上がった人間という前振りがあるのですよ!
そりゃ容赦なく狩り返す理由も納得出来るし、もう一方だって冒頭の「ハイヒールは履く物ですよ!」な演出で完全にブチ壊れているのも想像出来る。
《圧倒的なコンバットスキルvs壊れた思想の殺人者》
という設定から"命懸けゆえに身に染みついた実戦経験の強み"という「コレじゃ急造品は勝てねえよ」って部分を 仮に
〈ソレはさて置き〉
してもチョイとこのケンカはどうなん??と。
『 更に"あの瓶"ですよ。』
あの件(くだり)やられちゃうと もう相手は〈殺らなきゃ殺られる〉で来てるのに、家主は余裕かまして"命懸けじゃない"感のある演出。
せっかく急造品の件を"さて置き"したのに何ソレ?
もう《負けフラグ》にしか見えないんですよ。
同レベルのケンカじゃどうにも納得しがたい演出が何箇所もある。
こうなるともう どんな方向に優しい目で見てもバランスが崩壊しちゃうというか。
コメディ"要素"は良いんだけどコメディ"演出"となるとコレどうなんだ?と。
ソレがずっと引っかかってしまいましてね。
結局全体のバランスとして風刺しまくりなタイプの映画で、考えさせる一方で ある意味笑ってふっ飛ばす作りでもある以上、クライマックスはあんなテイストで良いんだろうし 実際ワシも通して観て面白かった事に間違いは無いんだけど、やはりマンハント物としてはこの〆かた、
『右上がりにアゲたこのテンション、どうしよう…』
という気持ちになります。
とは言っても気になったのがソコぐらいで、あとはもう概ね(おおむね)面白かったし、ゴア描写もかなりハードなアクション映画の範囲内だったので問題なく、楽しい90分だったのは確か。
映画として良く考えられてる作品。
バカやってる様で 実は、
『結構な優等生』
って感じ。
まぁワシがもっと『バカを期待した』のだろうとは思うけどね。