しろくま兄サキス

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのしろくま兄サキスのレビュー・感想・評価

3.5
【かくも長き主人の不在】
 チャドウィック・ボーズマンの訃報に接した時、「ああ、これでブラックパンサーの続編はなくなるか、シレーっと別な役者に交代するんだろうな」と思ったものです。なのでワカンダフォーエバーが公開されると聞いた時はどんな話になるんかいなと俄然興味をそそられたもんです。
 …なるほどそうきましたか。ほんの僅かな回想シーン以外全く登場しないにも関わらず、誰の胸にも刻まれる不在感がじわじわと伝わってくる。世代を超えて思いを継ぐことの尊さを描くことがこの監督の持ち味なのかな。あんまりMCU感高くない。
 さて、いきなりなんの伏線もなく"ちゃんと"主君を失うワカンダ(一応、前作でハーブが全て焼かれてしまったって設定はあるにはあるけど)。世界のパワーバランスを左右するこのチャンスにワカンダが独占採掘するヴィヴラニウムを得ようと揺さぶりをかける列強諸国。動揺するワカンダに追い打ちをかけるように接触を図る謎のアクアマン?(笑)。スーパーパワーを持つものの、彼の正義はそれなりに筋が通っており、前作のキルモンガーと同様単純にヴィランとは言い切れない存在。言うなればタロカンのブラックパンサーが彼なんだね。
 ワカンダ側のメカがカッコいい。レティーシャ・ライトのプロポーションって、貞本義行の描く女性キャラのよう。まさにネコ科動物って感じ。ただ、そんなテクノロジー持ってるのにクライマックスは戦国時代のような肉弾戦。ミサイルとかビームとかないの?リリは二代目アイアンマン襲名?