トッシー

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのトッシーのレビュー・感想・評価

4.3
MCUファンとしては
葬儀に参列するつもりで
観に行ったんです。これ。

全編、追悼鑑賞をするつもりで…



…けど、ちょっと違った。

追悼は追悼なんだけど
きちんと残された者達の
物語にもなっていました。
色んな意味で。

何より…
新生ブラックパンサーのオリジンを
しっかり描いてくれたんが
嬉しかったなあ…

MCU、フェーズ4の
締め括りとして、
フェーズ5への期待と希望が
ちゃんと繋がる内容に
なってたんじゃないでしょうか?

アクションシーンに関しても、
爽快感がイマイチ欠けると
思っていた前作と比べて

MCUらしい
ケレン味が増していて
好きでしたね。

ネイモアやリリ、
タロカンの面々など
ワカンダ勢以外の
キャラクターが増えたので
アクションのバリエーションも
前作より増えてましたしね。

…そんなわけで
個人的には
前作より好きでした。

チャドウィックの不在は
永遠に大きいままだけど

それを乗り越えて
ちゃんと面白くできたのは
凄いことだし………
良い追悼になったんちゃうかな?


ちなみに今回、
チャドウィックの訃報を受けて
急遽、シナリオを大幅に
書き直したらしいですよね。

現実世界だけじゃなく
物語の世界でも、
ティ・チャラが
亡くなったというストーリーに…

別の俳優をあてて
そのままティ・チャラでやる事も
できたと思いますが
(実際ハルクは俳優変わってますし…)

それをやらなかったのは
英断だったと思います。

その話聞くだけでも
ちょっと泣けるしね。

フィクションと現実が交錯し

その哀しみは、
より重く、苦しく…

そして、葛藤の果ての
解放と希望は
より強く暖かく…

もう、何とも言えない感情が
巻きおこりましたよね。

今回のシナリオ変更が
映画への感情移入を
引き上げたのは
間違いないですから

やっぱり英断でした!



まあ、確かにね

チャドウィックの
ワカンダ・フォーエバーが
観たかったし、

ネイモアと死闘を演じる
ティ・チャラの勇姿に
テンション爆上がり
したかった。

その気持ちは永久に
変わりはしないけれど

それでも、
ブラックパンサーの今後が
すげえ楽しみになったんよね。

良い続編で
良い追悼で
良いフェーズの
締め括り!

…でございました!

★★★★★★★★★★★★★★★★★★
そして、ここからは
ネタバレでレビューしたいと思います。
やっぱりもうちょっと語りたい!!!
この映画を未見の方はご注意を!
★★★★★★★★★★★★★★★★★★


















































































シュリが凄く良かったですね。

誰かがブラックパンサーを
引き継ぐのは分かってたけど
ちゃんとシュリで良かった。

その辺りに
誠実さを感じました。

だけど、シュリは今回
「燃やしたいのは世界と
そこに住む人々」
…とか言っちゃいますからね。

深い哀しみと喪失感は分かるけど
どんだけ兄ちゃん好きやねん!
…とか思いましたよ。



でもね、
「世界を燃やしたい」
…とか思った事ある奴は
信頼できるんだよ!!!
(本当に燃やすのはダメ!絶対!)


その未熟さ、その不完全さ
それでもやっぱり
正しくあろうとする
意思や葛藤や苦しみ

そんなあれこれが
人として、物語として、
そしてヒーローとしての
味になるんだし、
彼らをより身近に
感じさせてくれるんだから。

そもそもMCUは
ヒーローの
そんな側面に光をあてて
ずっと描いてきてますよね。
もう伝統芸なんですよ。

だからラストの闘いにも
ちゃんとした正義が
ないんよね。

どいつもこいつも
自分自身の大義と想いで
動くもんだから

「お前ら、
もうちょっと冷静に話し合え!」
…としか言えなくなる。

だけど、
そこがいいじゃないですか。

絶対正義なんて
もはや、フィクションの世界でも
嘘くさいだけですしね。

そして、その不完全さは
現実世界でのどうしようもない
様々な問題とも重なるし

ヒーロー映画で
結構なヒーロー否定を
やり続けてきた
MCUの哲学でもあるし

守護者を失った
シュリとワカンダの
苦しみと混乱を
より克明に浮かび上がらせます。


結果、

「ティ・チャラがいないと
やっぱりこうなるよな。
でも、頑張れシュリ!!!!
ワカンダ・フォーエバー!!!!」

…って気持ちにさせてくれる。


ラストのシュリの
「ワカンダ・フォーエバー!!!」

そのカタルシスは
えらい事になりましたよ。

劇伴もね、
いつものテーマ曲が
なかなかはっきり
かからんなあ
…って思ってたら
あそこでバチッとくるんやもん

そんなん、
好きにきまってるわ!



…もっと言えば
この物語は

世界を燃やしたいと
思った1人の女性が

心にキルモンガーを秘めながら
(あそこでキルモンガーが
出てくるんも最高!
もうシビれまくった!)

それでも亡き兄の気高さに
近づこうとする物語。

そしてその強さと優しさを
受け継ごうとして悩み苦しみながら
ワカンダ・フォーエバーする
物語なんですよ。

もう2重に泣ける。

やっぱりただのお葬式に
収まらないですよ。
この映画。

ちゃんと追悼をやりながらも
言い方は悪いけど
その喪失感すら逆手にとって
一級品のエンターテインメント!

…に仕上げておったと思います。



レティーシャ・ライトは
引き続き、そんなシュリを
魅力たっぷりに演じてくれました。

メチャクチャ責任重大やし。
チャドウィックとも
本当の兄妹みたいに
仲良かったらしいんよね。

だから結構しんどかったと
思うんですよ。

良くこのシナリオで
やってくれましたよ。
ありがとうですよ。



次のアベンジャーズには
新生ブラックパンサーは
きっと参戦するでしょうから。

これは!
よっしゃ!
楽しみだ!!!!!



…最後になりますが、
やっぱりありがとう
チャドウィック・ボーズマン!

あなたが創った
ブラックパンサーは
これからも続いてゆきます。

あなたが残してくれたもの
僕たちファンは
絶対に忘れませんから。

ずっとワカンダ・フォーエバー
していきますから。

本当にありがとうございました。
どうか、安らかに。

2022-70
トッシー

トッシー