にょいりん

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのにょいりんのレビュー・感想・評価

2.0
ティ・チャラ(チャドウィック)の追悼映画。
ワカンダ、そして人生の核を失った人々が如何にその空白を埋めるかを現実の俳優の死とシンクロさせつつ、このスケールで描くの凄い事だと思った。

今回の敵役、ネイモア、タロカン軍は前回のキルモンガーほどでないにしても、決して悪とはいえず、個人的には最後までワカンダ側より魅力的に映った。
タロカンが初めて登場するシーンはモンスターパニック映画のような怖さがあり、その中心のネイモアが民を守る責任感と圧倒的な戦闘力を持っているというのも良かったし、海底のタロカン国の描写も美しくて、タロカンって本当にいい国だなって思った。

それに対して、ワカンダ側はティ・チャラの妹、シュリ達が国の中心を失った事により全体的にヒステリックで高慢に見えた。

その対比を描く映画の前半部分は割と楽しめたけど、その先はティ・チャラのいない空白をシュリの成長によって埋めるような展開ではあるが、それが強引で薄っぺらくて残念だった。シュリは自分が失ったモノに対しての復讐心のみで対抗する力を身につけるが、相手であるタロカンに対して一ミリも考慮せず、その葛藤も描かれない。その未熟さがシュリの設定だろうけど、タロカン側に気持ちが入ってしまったので、結局最後までモヤモヤしたままだった。