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喜劇 愛妻物語のkazwowのレビュー・感想・評価

喜劇 愛妻物語(2020年製作の映画)
1.2
WOWOWで何となく最後まで見てしまったけれど、ニコラス・ケイジの「リーヴィング・ラスヴェガス」の劣化版。ラスヴェガスはダメ人間が本当にダメになってしまいました、と言う話だけど、こちらはダメ人間が本当にダメになるのになぜか救われます、って言う落ちになっている分劣化している。

共演している女優もこれでもかと言うぐらい悪態をつきまくるだけで、最後にわあわあ泣かせるのもうんざりするような日本映画の定番手法。製作者がそういう環境に育ったのであれば、これもまた1つの風景なのだろうけれど、そうじゃないこちらとしては露悪的なだけでどこにも面白さなど感じない。夫婦の間には子供がいたが、その扱いもただのおまけ、知能がまるでない添え物としてしか扱われていなかった。

脚本家はまさにかつてそういう立場の子供だったのかもしれなくて、人間の攻撃性に対して麻痺してしまっているのかもしれないなどと邪推してしまう。

さらに映画の後のよくわからない対談で、対談者が「夫婦は夫婦を続ける限りは大丈夫」とかよくわからない事を言い合っていたのもイヤな印象だった。DVをも肯定しかねないような、ナイーブすぎる理想論である。どこか古い日本の、制度にもたれかかったまま死んでもその安寧をすすり続けるだけの価値観を思わせぞっとする。

倫理が崩壊し、他者どころか自らの傷みすらも笑いの種になってしまう現代の日本の病的な側面がよくわかる映画ではあるが、製作者自身がその点に対して意識的ではない点において未完成な、時間の無駄である。
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