ももいろりんご

ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコのももいろりんごのレビュー・感想・評価

3.5
“最愛の妻とネコ”からくる印象よりはかなり重め。天才イラストレーター、ルイス・ウェインの愛と苦悩の人生。そしてその生涯を演じるベネディクト・カンバーバッチがまたすごい!
.
 =STORY= *公式HPより
イギリスの上流階級に生まれ、父亡きあと一家を支えるためにイラストレーターとして活躍するルイス。妹の家庭教師エミリーと恋におちた彼は、大反対する周囲の声を押し切り結婚するが、まもなくエミリーは末期ガンを宣告される。庭に迷い込んだ子猫にピーターと名付け、エミリーのために彼の絵を描き始めるルイス。深い絆で結ばれた“3人”は、残された一日一日を慈しむように大切に過ごしてゆくが、ついにエミリーがこの世を去る日が訪れる。以来、ピーターを心の友とし、ネコの絵を猛然と描き続け大成功を手にしたルイスだった。しかし、次第にルイスは精神的に不安定となり、奇行が目立つようになる。やがて「どんなに悲しくても描き続けて」というエミリーの言葉の本当の意味を知る──。
.
.
19世紀末から20世紀にかけて、イギリスで大人気だったイラストレーター、ルイス・ウェイン。その人生にまずは驚き。そして、当時、ペットといえば犬で、猫を飼うのは一般的ではなかったのも発見。ルイスは猫の地位向上の功労者だったのですね。
.
家柄は良いけどお金がない…ルイスの下には5人も妹がいて、早くに父を亡くしてから一家の大黒柱。前向きで頭は良く、絵の才能に溢れたルイス。なんとか乗り越えていくのかなーと思ったら、商才はなく損ばかり。ウェイン家はいつもお金に困っていて、変わり者の兄と家族は嘲笑の的だった。
エミリーとの結婚には周りが大反対!(貧乏生活なのに身分違いとか言う時代😅)ルイスは思いを貫き、実直で風変わりな彼をエミリーも愛してくれて、反対を押し切って二人は結ばれます。家族にネコも加わり幸せな日々。
あぁ…本当に…この日々が続いていればな…。
.
原題は「The Electrical Life of Louis Wain」。この時代、エジソンとかテスラとも世代が被っていて、電気の便利さと不思議さが交差してる。ルイスもその電気に魅了された1人でした。電気で特許を取りたかったけれど、生活のために画家に。
その電気から始まる彼の妄想と、過去のトラウマ、家族、そしてひとり残された孤独。
(この辺り情報量多めで、咀嚼していくの忙しかったと感じたのは私だけでしょうか…?)
.
ルイス、すごい早描き。なんと両手で描いちゃう。猫の描写もその人生とともに変わっていくのですが、その変化…彼の幸せを思うと苦しい。だからこそ、エミリーが託した願い、愛の深さにグッときます。
たどり着いた最後の情景は深く美しく優しくてよかった。