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hisのmikeのレビュー・感想・評価

his(2020年製作の映画)
2.5
今泉監督作も役者陣も大好きなのに、登場人物の心の動きがつかめず、全くのれなかった。何回「いやいやいや…」と言ってしまったことか。今泉監督が得意とする心のひだ描写のリアルさと、見え隠れする妙にファンタジックな固定観念(一昔前の少女漫画的?)との乖離が激しくて、作品として違和感を感じてしまった。

一番大きな原因は娘・空ちゃんかと。この子の書き割り感がすごくてまず無理だった。大人同士の心の機微は繊細に描いているのに、この子が関わってくるととたんに解像度が急落する。まず6才なめんなって話で、この子に誰もきちんと説明したり考えを聞いたりしていない時点で全然優しい世界じゃない…と思ってしまった。仕事が忙しくて好きな食べ物や絵本も知らない母親と、ずっと笑顔で優しく遊んでくれる父親という構図も「性別逆転させただけですごい偏見だな」と思ったし、親のエモで親権移動決めないでほしいし、そもそも迅が空ちゃんを受け容れるということすら当然の前提になってしまっている気がしてつらかった。

村の人はみんな善い人…みたいなくだりも「ざ…雑!」と思ってしまった。元同僚たちの差別や子どもに手を上げる描写のエグみはすごいのに、「老人は子どもが好き」「好きな人がゲイだと想定もしない」というようなけっこう乱暴な観念がほんわか描かれているのもきつかった。個人的にはどこへ行ってもこういう人間の比率はあまり変わらないと思う。(性格悪いんかな?)

あと役者さんに全く罪はなく本当に申し訳ないんだけど、ゲイの友人たちが見たら鼻白みそうなキャスティングだな…とも思ってしまった。
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