こしあん

hisのこしあんのレビュー・感想・評価

his(2020年製作の映画)
3.3
「誰かと出会って影響を受けるのは人生の醍醐味」
「年取れば男も女も分からなくなる、長生きせい」
村のじいさんばあさんのこの言葉に泣かされる😭 

宮沢氷魚の儚げな透明感が、迅の役柄にぴったりハマってた。

渚が身勝手すぎてどうしても好きになれなかったなぁ。だから、この二人になんとか幸せになってほしいって思うことができなくて、でも迅には幸せになってほしいんですよ…だから、うーん、なんかモヤモヤしてしまった😅
裏表がなくて正直、人懐っこくて明るい、娘思い、それが渚の魅力!って一生懸命言い聞かせながら観てました😅 最後のほうには、いいヤツになってましたが。
この二人が惹かれ合う理由が分かるシーンが、もう少しほしかったかなぁ。

反対に渚の奥さんは、始めはイヤな女って思ったけど、ものすごい気の毒だし、何より奥さんの母親が一番イヤなヤツだった。あぁいう人間が一番タチ悪い。

娘の親権を争う裁判は苦しかったなぁ。『マリッジ・ストーリー』を思い出した。あぁいうの、あんまり見たくない……。裁判にせず、話し合いで解決できるのが理想だよねぇ。

田舎のほうが優しい、都会は冷たい、田舎のほうが同性愛に否定的、都会は寛容的。
イメージだとそうなのかもしれないけど、どこにでも同じようにいろんな考えの人がいるんだと思う。
劇中でも言っていた「優しい世界」は、最初からあるものではなく、作っていくものなのでしょう。それはやっぱり、〝話し合うこと〟が大切なんだと思う。

今泉力哉監督作品は『愛がなんだ』『サッドティー』『mellow』を観たけど、人間の可笑しみや独特の空気感や〝間〟、人間味あふれる登場人物たちのやり取りが好きだったけど、『his』はちょっと雰囲気が違いますね。だいぶマジメだし、なんというか言い回しや言動が自然じゃないところが気になってしまった。よそよそしいっていうのかなぁ。
私はもうちょっとくだけた感じのほうが好みだなぁ。

とはいえ、とても素敵な映画です。私が期待し過ぎた感があるので💦

【以下ちょいネタバレっぽい感想】









ラストシーンがとても素敵。娘の空ちゃんが自転車の練習をしながら転んでも、「大丈夫、強いから」って言うの、あれ、さりげないけどすごく良い!
空ちゃん、この歳でツラい経験いっぱいしたし、たぶんこれからも、世間の好奇な目にさらされたりすると思うの。でも、特殊な状況ながら、ある意味、自分を大切に思ってくれる親のような存在が3人いるようなもの。(奥さんの母親は、悔い改めない限り、あまり近づいてほしくないけど、手は借りたいから複雑😖)

何はともあれ、空ちゃんに幸あれ!
そればかりを願う。
こしあん

こしあん