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シン・ウルトラマンのkissenger800のレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
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これは楽しかった。そういう世代なので。
競馬のレースが18頭立てとするじゃないですか。1頭のサラブレッド理解には最低でも父、母、母父つまり3頭分の認識が必要なんですけど、もうちょっと贅沢言うなら五代血統表、つまり62頭分のデータが鑑賞の背後にあるべきで。
18頭立てということは機械的に数えれば62の18倍、つまり1,116頭の過去を1レースに投影しながら見ている、それがおおげさにいえば俺たち血統派の日常で、何が言いたいかっつーとこういう作品も同じで、知ってるからって予想が当たるわけではないけれど(=無表情)知ってる前提で見ちゃうから、知らない前提のひとに映る景色のことなんかそっちのけになっちゃうんですよ。この1作に詰め込むプロット3本の選択といい、そのリブート具合といい、文句なかったわー。

面白かったのは制作陣上位メンバーがまあまあ老いたせいで過去をヒケラカしてどん引かれる悪癖がおさまって、自己顕示欲という点ではお上品な仕上がりになっていた(一方で抜き難い“世代”臭がプンプンする)ところですかね。徹頭徹尾、作ってるほうが楽しくて仕方ない感。しみじみしました。

- 人類の愚かさにあきれると素で「メフィラス星人のような感想が出た」ってフレーズが口を衝く身として、今回の復刻は感無量。金城哲夫のオリジナルep.33「禁じられた言葉」(1967)が持っていたコンテクストこそが本当は掘り起こされるべきなんですけど、まあいっぺんにたくさん注文しすぎてもね
- 私の好きなことばです。と同じノリでウルトラマンのひとが口にする台詞、あれは上杉鷹山ではなく歌・水木一郎の「ロボコン・ロボット世界一」であってほしいし、なんなら節をつけていただいてもよろしかったのに。♪為せば成る、為さねば成らぬ何事も。そーれがロボーットロボ根性、ロボコンロボーt
- こっち未見で阪本順治『団地』(2016)に、おぅこれは? ってなった今夏の俺の直感が正しかったという満足
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