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ビューティフル・ゲームのkissenger800のレビュー・感想・評価

ビューティフル・ゲーム(2024年製作の映画)
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感動ポルノでしょう? と予断ありながらも再生したのはもちろんビル・ナイ(75)見たさでしたが、フェラ・クティの楽曲がけっこう流れ、それは作品形成パーツのひとつ「なんとなくproアフリカ」を象徴するチョイスで。
てことは物語と主張の主従関係がおかしいわけですけどなにせフェラ・クティなのでちょいちょい聞こえてくるうちにアガってしまうん。

南アフリカ(=作中で重要な役まわりを担当)だろうがナイジェリア(=フェラ・クティの出身国。映画にはいっさい出てこない)だろうがイングランド(=本作の主人公たち)だろうが、まあどうでもいいよね? ってなるあたり、おお、パン・アフリカニズム。って実に適当な感慨がもたらされ、理屈っぽいことを言うけどアゲアゲミュージックさえ聞ければなんだっていいんだろ的俺のチョロさが際立ってしまう。

繰り返しますがストーリーテリングは安直なんです。それでもIUとパク・ソジュンの『ドリーム 狙え、人生逆転ゴール!』(2023)に比べればマシなのは恥部に目を凝らすことへの文化的な耐性というか経験値の差というか、太宰治や坂口安吾や織田作之助、ああいう目を覆いたくなる「ダメな俺を見てくれそして蔑んでくれ」芸を映画という形でプレゼンすることに欧米が一日の長ある、というか。

それはそれとして物語中で何度か言及されるセカンドチャンス。
一度やらかしたとしても再起の機会は社会が保証する、なぜなら自分たちもいつやらかすか分からないから。って良いフレキシビリティで、本邦の妙に歪んだ潔癖主義(=政権与党には適用されない)とっととOS最新版にアップグレードすべき。と思ったりしました。うん。最後わりと関係ない方角に感想がブレましたけど、まあ、そんなところです。
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