ふーは

シン・ウルトラマンのふーはのネタバレレビュー・内容・結末

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

まさしく原点回帰。久々に王道のウルトラマンを観れて感動した。

特に山本耕史の演技が良く、メフィラスのなんとも言えない不気味さを怪演していた。

物語の展開としてはオムニバス形式に近く、一応1つの時間軸の連続した出来事ではあるが、話の展開についていけなかったという意見も理解できる。
また、ウルトラマンという存在に対する人間サイドの認識であったり、カラータイマーがない件であったり、「ウルトラマン」という存在についての真髄をしっかりと描いていたが、やはり事前知識が必要なところが多く、この作品で初めてウルトラマンを観る人にとってはかなり難解な作品ではないかと考える。

今のニュージェネレーションという、迷走したウルトラシリーズに辟易していた人間(ただの懐古厨かもしれない)としては、久しぶりにちゃんとしたウルトラマンを見ることができて、涙を流すほど感激した。

かつて、ウルトラマンを観て育った世代(特に初期とマックス・メビウスあたり)の人間には刺さりまくる内容であり、忘れかけていたウルトラマンへの想いを思い出させてくれた作品である。

ただ、一点だけ気になった点があるとしたらエンドロールである。
曲自体の善し悪しは置いておいて、見た後の余韻に浸る時間が一切なかったことが残念であった。
難解な内容を思い出し反芻したり、ウルトラマンに関する記憶を呼び起こし、それらの余韻に浸る時間が一切なかったことが気になる。

最後の「おかえりなさい」のセリフの直後、画面が黒くなり、米津玄師の「はるか空の星が〜」と始まるのだが、イントロが少しでもあれば印象は変わったのではないかと感じる。
例えば「千と千尋の神隠し」だと、エンドロールはハープの音から入り、歌い出しまでの時間があることで物語を反芻し、余韻に浸る時間がある。その時間が件の映画を見るという行為において、非常にプラスに働いており、その余韻も含めて素晴らしい体験であったと感じる。
一方で、この作品は、余韻に浸る時間が無く、すぐに米津玄師の世界の情報を脳に詰め込まれるため、曲自体を批判するつもりはないが、どうしても曲がノイズに感じてしまった。
それも含めてこの不思議で奇妙な作品の世界観を作り出しているのかもしれないが、私個人としてはやはり余韻に浸る時間が欲しかったため、少しマイナスさせてもらった。
ふーは

ふーは