このレビューはネタバレを含みます
近未来日本では禍威獣と呼ばれるモンスターが突然現れ、政府はその処理に追われていた。電気を食らう禍威獣ネロンガの対応に追われていたある日、宙から謎の飛翔物体が降り立った。人のようなその生き物はネロンガを倒し、人間に利するような行動を取る未知の生命体として一段と目を引いた。そして、人はそれを「ウルトラマン」と命名した───。
親戚の子供たちと視聴。
庵野作品もウルトラマンも通ってきてないので、ハイコンテキストな部分は分かりませんが、まとまった良い作品です。
特撮もののアクションや人物造形も見事であり、子供心を思い出しワクワクしましたが、テーマが何より素晴らしい。
突然、宙からやってきたウルトラマンはその過程で神永隊員を死なせます。そして、その刹那に神永が自分の命を賭して、子供を守る姿を目にします。
後半で語られるように、永遠の命をもつウルトラマンにとっては、この命を捨てて他者の未来を守る行為が、人間の本質であり、守るに値する魅力であると理解します。その本質に魅了された彼は神永隊員と融合し、ラストの自己犠牲へ繋がります。
私は不勉強ながら、ウルトラマンというのは超生命体であり、滝隊員のように「私たちの能力を超えた神のような」存在であると思っていたので、今回のようなA→Bの矢印が逆転する構図に驚かされました。
というより、単純にこの構造好きなんですよね。登場する敵役たちと対比することを経て、ウルトラマンの人類に対する感情が真に対等で互いを尊敬した関係であることが理解でき、ゼットンに対峙する際のウルトラマンと浅見や、滝とのやりとりが熱いものとなりました。
米津玄師の主題歌もすごい。
ウルトラマンに対する少年たちの憧れも、翻って、ウルトラマンに対する人々のの気持ちも、ウルトラマンが観た人類への言葉も全部入ってるような歌になってる。
あまり観ないジャンルであるからこそかえって細かいところに目が行かず、いい映画だなぁと素直に思いました。
全部説明するようなセリフや、明朝体フォント説明書に良くも悪くも日本映画っぽさを感じましたが、それも味ということで。