ワンショットで、戦場を一気に駆け抜ける臨場感。
息もつげない緊迫感。
革新的な作品であることは間違いない。
上等兵の、地を這うような視点。
炎、鉄格子、ドロ溜り、死体。焼け焦げた臭い。
戦場を俯瞰できる視点は、この作品には一切ない。
任務を果たした後も、1600人助かった実感がなかった。
戦場ゆえの宿命だろうか。
上官からの司令を行動に移すことに迷いがない。
反論はあっても、決断がはやい。
感情が置いてけぼりにされたまま、物語は進む。
兵士から時折ボソッと愚痴っぽく吐き出される言葉くらいでしか、
感情を読み取ることはできなかった。
情感豊かに描かれる戦争映画とは異なり、
実際の戦場のリアリティは、この作品の様な世界なのかもしれない。
超ワンショットの革新的な撮影法が気になりすぎて、置いてけぼりになった感情を、二回目は取り戻したいな。