Nana

1917 命をかけた伝令のNanaのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.0
カメラの存在を感じさせない、圧倒的な撮影技術にただただ驚嘆。

映画は勿論のこと、絵画から写真、さらには小説に至るまで、どこから何を見ているのかという視点の在り処が存在する。
その視点の持ち主が誰で、なぜそこから見ているのか。それを考えることも作品の楽しみ方だと個人的には思っている。
しかし、この映画は「視点」を感じさせない。
その場に一緒にいるかのような、共に走っているかのような感覚になる。カメラの視点ではなく、私の視点として観てしまう。

大仰なセリフがあるわけではない。
任務完了時にも華々しい何が起こるわけではない。
ひとりの人間が与える影響の大きさと、それでいながらそのひとりが英雄になれるわけでもない現実。
戦場に在る誰かの家族写真、かつてそこに住んでいた人たちの生活の跡。兵士たちの雑談。
すべてにおいて大げさではないところがリアルだった。

効果音も素晴らしい。時折聞こえる自然の音がたまらなく美しかった。
Nana

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