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1917 命をかけた伝令のtetsu0615のネタバレレビュー・内容・結末

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

良い映画だとは思う。

ただ、ワンカット風と言うのが上手く機能していたか…個人的にはそこまでの没入感は無かったかな?
彼らが伝令を届ける中で、周囲には前線に送り出される兵士や負傷した兵士、死体、荒れ果てた土地や民家…彼らと追体験するのは戦争の凄惨さや無情さだ。
そういう意味ではワンカットで彼らと共に動く以上彼らと戦地を追体験した機能は果たしているし、緊張感も確かにあったので素晴らしい作品だとは思うのだが…どうしても物語としては盛り上がりに欠けると言うか…感情を揺さぶるナニかが足りない気がしまして…
イヤ、でも追体験した気持ちにはなったから…うーん感想って難しい笑
追記するかもなので見た直後の感想はひとまずこの辺で置いておこう。
少なくとも、ワンカット風に見せることへの並々ならぬ努力が垣間見えるし、「この一連の流れをどのように撮ったのだろう」と思わせる場面や時おり挟まれる自然の美しさ、明暗のコントラストなど画的にも魅せてくれる場面の多々ありそれもまたこの作品の魅力かなと。
というより、ワンカットというのを時折感じさせないというのが寧ろすごいのだと改めて感じた。
あとは豪華な俳優陣がほんの僅かながらも存在感のある顔見せしてくれるのもポイント

二人の若手兵士に託されたミッションは前線に居る部隊への作戦中止命令。失敗すれば多くの仲間兵士の命が失われてしまう…2人の兵士の命がけのミッションが始まる…

冒頭は休んでいる二人が写され、ここから戦場にどう変わるのかという興味で観客を引き付けるが、徐々にそこも戦場のほんの一部であることが示される。
疲れきった兵士や負傷した兵士…まさしく"そこ"にいるように二人と共に戦場を歩き始めるといったところか。
指令が下り再び歩き始める…物語としてはこの一本のみだ。指令を届けるために歩み続けるということ。ある意味潔くシンプルではあるものの、その分前半はまだ緊張感もそこまででは無く、ともすれば緩慢な流れにも見えた。無論その道中でも戦場を詳細に描いていて、彼らの歩みと共に緊張感も次第に増してくる。ブービートラップでの爆発は中々ドキドキしたし、緊張感のギアが1つ上がり彼らの行く末に帯同しているように目が離せなくなる。

そこから一瞬たりとも見逃せない命の危険との隣り合わせな空気が我々を画面へと引き付ける。
飛行機が目の前に墜落してくるなんていう展開は少しやり過ぎなのかな?とも思いつつも、その後のショッキングな展開は戦場でのいとも簡単に命が消えていく無情さを容赦なく描いている。
ブレイクの命の消えゆく様は、命の灯がゆっくり消えていき最後に"フッ"と儚く消え、また助けようとした相手兵士に殺されてしまうのも切ない…

マークストロング演じる将校に助けられ、車での移動へ…悲しみに暮れる暇もない戦場の無情さ、何気ない兵士たちの会話と無表情なスコフィールド…しかし、スコフィールドが任務に対する強い想いを見せて彼らはスコフィールドに肥をかけたりすることでスコフィールドはまた歩みを始める。
戦場で僅かながらに残る希望を感じさせる場面にもなっているなかなと。

橋をゆっくりと渡る。そこに漂う緊張感と響く銃声。ここからはより激しくなる戦禍での戦いを描く。どこから来るか分からない銃弾を退け反撃する。いつスコフィールドが命を落とすかもしれないという緊張感にその場にいるような緊張感だ。
相手兵士からの反撃。そこで画面は一時的にブラックアウトする。そこから場面は夜の場面へとシフトする。夜の闇がより緊張感を高めると共にそこを照らす照明弾と燃える教会、飛ぶ銃弾が恐ろしくも美しいビジュアルとなっているのも特徴だ。
そこで、出会う戦場で隠れる女性と小さな子供。戦禍に飲み込まれた人々の切なさと共にスコフィールドにとっては僅かながらの救いのような、休息にもとれる瞬間で、偶然にも酌んでいたミルクがそこで役に立つというのも運命的だ。

そこから川に飛び込んで流される様はどうやって撮ったのかという迫力と危機感に溢れるシーンだし、伝令を届ける最後の戦場を駆け抜けるシーンの迫力は凄まじい。
指令を受け取ったカンバーバッチ演じる将校のセリフが印象的。
何度も変わる指令に振り回されてきたのかもしれない…

正直レビューするのがなんだか難しい。映像体験として没入感は間違いなくあるのだが、個人的にはそこまで…と思いつつもワンカットを感じさせないカメラワークの素晴らしさと散りばめられた戦場の激しさ、厳しさ、虚しさに心を動かされるそんな映画だったかなと。
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