映画の歴史から忘れ去られていた世界初の女性監督と言われるアリス・ギィ(Alice Guy-Blaché)の1912年の短編『アメリカ市民を作る』。
粗野で無骨な夫イワンと妻。
イワンはロバに引かせた荷台に座り、ロバの隣で歩かせている妻にムチ打っているという酷い男。
道すがら移民の集団に出会った夫婦は、彼らの誘いでアメリカへ行くことに。
イワンはアメリカで4つのレッスン/指導を受けることになる。
1.港で妻に重い荷物を背負わせようと棒で小突く..
2.新居の部屋で妻にブーツを脱がせるがもたつき暴力を振るう..
3.田舎に越し、椅子に座り妻だけに畑仕事をさせる..
その都度アメリカの男たちに叩き直されるがなかなか変わらないイワン。一方、妻は徐々に気強くなっていく。
4.食事中、突然暴れだし駆け付けた男たちに取り押さえられるイワン。妻が警察に突き出し、裁判所で6ヶ月の重労働刑を受けたことで、やっと心優しい夫になる。
無骨な夫と、彼に支配されてきた妻。二人はアメリカニズム/フェミニズムを叩き込まれ、幸せな夫婦(善良なアメリカ市民)になりましたというお話。
懲りないイワンのキャラがいかにもで可笑しい。
ギィがパリからアメリカに移って2年目に製作された作品というのも興味深いです。
https://youtu.be/RGoezMD74zw