しん

オフィサー・アンド・スパイのしんのレビュー・感想・評価

2.8
反ユダヤ主義の根深さや軍の閉鎖性、ナショナリズムの盛り上りの怖さなど、現代にも通じる問題を多数孕んだドレフュス事件は、今こそ振り返るべき歴史です。その意味では、映画化されたことを素直に評価すべきでしょう。

しかし全体に冗長と言うべきか、飽きやすい構成でした。一人の軍人に焦点を当てているため、世論の危険な盛り上がりも唐突感がありますし、軍人たちの葛藤のようなものもあまり見えませんでした。130分なので決して長すぎる作品ではないのですが、体感としては「まだやるの?」という感じでした。

不倫の話も中途半端で、元夫の怒りのようなものも前景化しませんし、こんな感じなら全部切って110分でまとめてもよかったんじゃない?と思わずにはいられません。

エンドロール直前の話は知らなかったので、そこは面白かったです。ドレフュス事件についての学びにはなりましたが、映画としてはもう一歩という印象ばかり残りました。
しん

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