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ベイビーティースのdm10foreverのレビュー・感想・評価

ベイビーティース(2019年製作の映画)
4.3
【99%の不思議】

昨年日本でも公開され話題となった「ストーリー・オブ・マイライフ」にて病弱な三女ベスを好演したエリザ・スカンレン主演の、これまた難病系ピュアラブストーリー。

いわゆる「TEEN×難病」というプロットの時点で『泣ける』という事前準備が出来上がってしまいそうなものだけど、不思議と涙は流れない。
Filmarksでのジャンルが「コメディ」と区分されているところからも、決して「お涙頂戴」に終始せず、「死」という結末を必要以上に悲観せず「今を自分らしく生きること」に前向きなミラの姿に、何故だかこちらまで感化されてしまう。

物語はちょっぴり不思議な構成で出来ている。
それこそ「難病系」であり、結末(主人公の死)に向かってストーリーが進むという展開が定型であるならば、全くと言っていいほどそれを無視したかのように、病気の詳細などには触れない。
実際、彼女は末期ガンに侵されていて余命もそれ程長くないということは公式HPでも公開されているような設定であるにもかかわらず、それは物語の中では殆ど触れられない。
「重い病気である」ということは序盤から伝わってくるが、決してポイントをそこに置かずに、ミラの目の前に広がる光景を断片的かつカラフルに切り取ったような展開なのだ。

・・・難病ものでありながら、あえて「それ」で泣かせるつもりがない映画。
ともすれば、周囲の心配すらもどこ吹く風で加速するミラの「生きる意味」とは

突き詰めれば突き詰めるほどどんどん物語の体温が上がってきて、でも、それでも残酷な運命は刻一刻と迫ってくる。

だけど、ミラは加速する・・・。

そしてエンドロール寸前のラストシーンで明かされる「ミラの真意」。
だからこの構成だったのか!と唸ってしまう。

「99%の不思議」と「1%の真意」
観終わった後の余韻が凄い作品です。

「1%の真意」についてはネタバレコメ欄にて。
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