えちぜん

異端の鳥のえちぜんのレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
2.5
基本的にこの手の【鬱ムービー】は好みなんだけど、3時間も座らされた割には残念。

鬱な作品系でも、例えばミヒャエル・ハネケならヒリヒリするような緊張感がたまらないし、ラースフォン・トリアーも宗教的な美しさや余韻を感じさせてくれる。

はたまた「ニーチェの馬」もモノクロ・長回し・3時間の長尺だが、観賞後には「忘れられない映画体験だったなぁ〜」としみじみ感じ入る作品だ。

「異端の鳥」は正直、映像美も、観賞後の余韻も、それほど感慨深いものは得られなくて残念。すごくえげつないんだけど、悪い意味でリズムよく軽量級だった。「バトルロワイヤル」が「残虐なだけで何が言いたかったの?」だったのに近い。

とはいえ、長々と見せられる普通の人々の狂気・暗部。生きることに必死の時代で心に余裕はない背景もある。そんな人々を『信じられない』と対岸に突き放すより,『環境次第では、自分もああなってたかも』と理解を出せる人のほうが、正常だと思うのです。
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