さっきん

異端の鳥のさっきんのネタバレレビュー・内容・結末

異端の鳥(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

モノクロだが画質にしろ景色にしろ綺麗なので疲れず、音楽がないのも淡々と進む作品に入り込みやすくて良かった。
たまに良い人も現れるが、どこか狂った大人ばかり。そこにその種族として生まれ落ちたが運命という形で、逞しく生き残る一方、知りたくもなかった残酷な仕打ち/現実に心が傷ついていく。

少年が病にかかると体を土に埋めてカラスに頭をつつかれて血を流したりした占い師や、
嫉妬に狂って妻を折檻し使用人の両眼を抉った小麦粉を作る主人らを思うと、
その次の鳥を売るおじさんは食事や睡眠、仕事を教える光景をみるに、気の良さそうなおじさん。
しかし性のはけ口にしていた謎の女が村人たちに性器に瓶を入れられたりして復讐した挙句殺されると、おじさんも急に首吊り自殺をしたので謎だったが、解説をみると恋していたのだとか。
やっぱり割と良心的なおじさんだった。
でも恋する相手が殺されたから自殺するなんて、惜しいなと思ってしまう。

その後、逃がしてくれた兵士はパイレーツ・オブ・カリビアンのビル・ターナー役のステラン・スカルスガルド氏だったのは驚いた。

司祭は登場から珍しく、見るからに良い人だった。そして少年の咄嗟の靴磨き。
しかし司祭は弱すぎた。
優しい人ほど早く死ぬ…
そして幼児性愛者の気色悪い男。
犯すし、すぐ手を縛り上げて折檻するし。
司祭に言えば殺すぞと脅され、ある時、拾ったナイフをどこで見つけたか案内させられ、逃げないようにお互いの体を紐で結び、わざと廃墟のネズミだらけの穴へ誘導し、穴に近づいたら走って穴に落とす。
よくやったぞ少年!!!
紐にそれなりの長さがあって良かった。

そして出会った女は夫を亡くして未亡人に。少年を性のはけ口にしようとこころみるも、できないと知るや、当てつけのように山羊と性交。
深くプライドを傷つけられた少年は山羊の頭を切り取って、未亡人の部屋の窓から投げ入れる。なかなかワイルド笑

狙撃兵もなかなか優しかった。これまでの人間より安心して見れた。
父親と再会し、帰ったら新しい服を買ってやろうとか、母も待ってるとか言われようが、それしか方法が無かったとはいえこの放浪の旅。そりゃあ昔のままじゃいられない。やるせない。
さっきん

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